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【連載】響きあう芸術パリのサロンの物語5「ガブリエル・フォーレとサロン」(岩波図書 2021年6月号)

 ガブリエル・フォーレ (一八四五−一九二四)の、とりわけ前半生はサロンの音楽家として知られた。ポーリーヌ・ヴィアルド夫人、クレール家、サン・マルソー夫人、マドレーヌ・ルメール、グレフユール伯爵夫人、ポリニャック大公妃、…

【連載】響きあう芸術パリのサロンの物語4「ポーリーヌ・ヴィアルド」(岩波図書 2021年5月号)

 『アルチスト』誌に載ったニナ・ド・ヴィヤール夫人のパリ・デビュー演奏会の批評には、彼女がアンリ・エルツやアントワーヌ・マルモンテル(ドビュッシーのパリ音楽院時代の先生)とともに、オペラ歌手ボーリーヌ・ヴイアルドにも習っ…

ショパンを心ゆくまで歌いたい人へ(ムジカノーヴァ 2021年6月号)

なめらかなレガートをつくるショパンの未完のビアノ奏法 ショパンの未完のビアノ奏法  まず、私自身のピアノ体験をお話ししよう。子どものころは、バロックや古典派の課題が多かったので、指をよく上げてしっかりタッチしていればよか…

【連載】響きあう芸術パリのサロンの物語3「ニコレ街一四番地」(岩波図書 2021年4月号)

 パリの地下鉄四号線をシャトー・ルージュ駅で降り、キュステユーヌ通りをのぼり、交差するラメ通りを少し戻って右折したあたりに、ニコレ街という小さな通りがある。治安の悪い一八区にしては瀟洒な町並みだ。  アパルトマンの壁には…

【連載】響きあう芸術パリのサロンの物語2「団扇と夫人」(岩波図書 2021年3月号)

 オルセー美術館に所蔵されているマネの『団扇と夫人』は印象的な絵だ。黒髪の女性がひじをつき、長椅子の上でトルコのサルタンのようなポーズで寝そべっている。  決して美人ではないが、印象に残る風貌だ。二重の目は大きく、目尻が…

【連載】響きあう芸術パリのサロンの物語1「サロンという登竜門」(岩波図書 2021年2月号)

若く、無名でお金のない芸術家が世に出る手段は、そうは多くない。二一世紀のこんにちでは、それがショパン・コンクールだったりチャイコフスキー・コンクールだったりするわけだが、一九世紀は貴族やブルジョワのサロンがその役割を果た…

安川加壽子が所蔵したブリュートナーを聴くコンサート(ムジカノーヴァ 2020年4月号)

 12月1日、国の重要文化財に指定されている西日本工業倶楽部(旧松本邸)で岡本愛子さんによるサロンコンサートが開催された。使用楽器は、安川加壽子先生旧蔵の1934年製ブリュートナーの小型グランド。  安川先生は、1922…

コミカルな6人組(東京・春・音楽祭2020 公式プログラム)

 フランス6人組と言ったら人は何を思い浮かべるだろう。軽妙洒脱、おしゃれ、コミカル、「現代音楽」に比べてわかりやすい・・・・・・。  何となくまとまったイメージがあるものの、実は6人の作風はバラバラで、共同制作したのは1…

フランスと私「私が、私のようであること」(ふらんす 2019年12月号)

演奏家になりたいと思ったことはなかった、ように思う。もともと手が小さかったし、弾けない曲も多い。ピアノも選り好みする。音量もあまり出ないから、オーケストラとの共演には向かない。競争も嫌いで、コンクールではいつもお先にどう…

ストラヴィンスキーとドビュッシーの危うい関係(レコード芸術 2019年5月号)

ストラヴィンスキーとドビユッシーの蓬遁は、1910年6月25日、《火の鳥》の初演時に遡る。ディアギレフから若きロシアの作曲家を紹介されたドビュッシーは、作品について愛想のよい感想を述べたあと、彼を夕食に招待した(有名なツ…

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