Archive

【連載】「花々の想い…メルヘンと花(終)」(華道 2004年12月号)

アンデルセン『ある母親の物語』 アンデルセンの『ある母親の物語』は、読むたびに涙してしまう。ある冬の夜、幼い坊やの看病をしていた母親のもとに、死神が訪れる。彼は、母親がちょっとうとうとしたすきに坊やを連れ去った。 必死に…

【連載】「花々の想い…メルヘンと花 11」(華道 2004年11月号)

ジョン・キーツ「イザベラ あるいは、バジルの鉢」 ジェルメーヌ・タイユフェール(一八九二~一九八三)は、フランス六人組ただ一人の女性作曲家である。「狂乱の二十年代」のモダン・ガールで、ヴァイオリニストのジャック・ティボー…

【連載】「花々の想い…メルヘンと花 10」(華道 2004年10月号)

サン=テクジュペリ「星の王子さま」 サン=テクジュペリの『星の王子さま』のバラのエピソードには、世界中の人がしんみりさせられたに違いない。 王子さまは星に一輪のバラの花を残してきた。手のかかるバラだった。自分の美しさを鼻…

【連載】「花々の想い…メルヘンと花 9」(華道 2004年9月号)

新田次郎「彼岸花」 『彼岸花』といえば小津安二郎の映画や、その原作となった里見弴(トン)※の短編を思い浮かべる人が多いだろうが、私は新田次郎の『彼岸花』の方が好きだ。((トン)※は「弓」へんに、つくりは「淳」) 東京近郊…

【連載】「花々の想い…メルヘンと花 8」(華道 2004年8月号)

中島敦「夾竹桃の家の女」 中島敦『夾竹桃の家の女』は、東南アジアのパラオを舞台にした官能的な掌編である。 風がすっかり呼吸を停めた午後、主人公はパラオ特有の滑らかな敷石路を歩いていく。一週間前に患った熱病が治りきらず、息…

【連載】「花々の想い…メルヘンと花 7」(華道 2004年7月号)

アンデルセン「即興詩人」 ミルテは、和名を銀梅花といい、常緑の低木で匂いやかな白い花が咲く。西洋では、花嫁さんのブーケによくミルテが使われる。 すぐ思い浮かぶのはシューマンの歌曲集だが、実際にはミルテを歌った曲はなく、ハ…

【連載】「花々の想い…メルヘンと花 6」(華道 2004年6月号)

「オズの魔法使い」 フランク・ボームの『オズの魔法使い』には、印象的なケシ畑のシーンがある。 カンサスの大草原で育ったドロシーちゃんは、愛犬のトトとともに竜巻で家ごと吹き飛ばされてしまう。降り立ったのはマンチキンの国。頭…

【連載】「花々の想い…メルヘンと花 5」(華道 2004年5月号)

宮澤賢治「貝の火」 宮沢賢治の童話では、「貝の火」が一番好きだった。 鈴蘭の葉や花がしゃりんしゃりん音を立てる野原。子ウサギのホモイは、川で溺れかけたヒバリの子を助けてやったお礼に、不思議な玉をもらう。それはとちの実ほど…

【連載】「花々の想い…メルヘンと花 4」(華道 2004年4月号)

アレクサンドル・デュマ「黒いチューリップ」 二十世紀初頭のパリで活躍したエリック・サティのピアノ曲に、「童話音楽の献立表」という組曲がある。2曲目は、「チューリップの小っちゃな王女さまが何んて仰言ってるか知っる?」。長い…

【連載】「花々の想い…メルヘンと花 3」(華道 2004年3月号)

ゲーテ・詩 モーツァルト・曲「すみれ」 「すみれが一輪、背をかがめてひっそりと野に咲いていて、それはとてもかわいらしいものでした」(木村能里子訳) ゲーテの詩によるモーツァルトの歌曲「すみれ」は、こんな一節にふさわしい、…

新メルド日記
執筆・記事TOP

全記事一覧

執筆・記事のタイトル一覧

カテゴリー

執筆・記事 新着5件

アーカイブ

Top