執筆・記事

【連載】響きあう芸術パリのサロンの物語13(最終回)「ヴァランティーヌ・グロス」(岩波図書 2022年2月号)

 「コクトーが撮った29枚の写真」という副題がついた『ピカソと過ごしたある日の午後』(ビリー・クルーヴァー著、北代美和子訳、白水社)は、エコール・ド・パリが蘇る楽しい本である。  一九一六年八月一二日、ピカソと昼食をとる…

【連載】「ヴィンテージ・ピアニストの魅力 第39回 ヴァレリー・アファナシエフ」(音遊人 202年夏号)

二〇二一年十一月十六日、銀座の王子ホールでヴァレリー・アファナシエフのリサイタルを聴いた。「TIME」と題する三回シリーズの第一回で、前半はバッハ『平均律クラヴィーア曲集第一巻』から八曲。後半はモーツァルト『幻想曲ハ短調…

【連載】「ヴィンテージ・ピアニストの魅力 第38回 イディル・ビレット」(音遊人 2022年春号)

トルコのピアニスト、イディル・ビレットは一九四一年生まれというからマルタ・アルゲリッチと同じ八十一歳。 パリ音楽院でナディア・ブーランジェの指導を受け、十五歳で卒業したあともコルトーやケンプに師事。ブーレーズの三曲のソナ…

ショパンコンクール 能動的だった日本人出場者(西日本新聞 2022年2月26日付朝刊)

 今年10月、ワルシャワで開催された第18回ショパン国際ピアノコンクールは、中国系カナダ人ブルース・リウの優勝で幕を閉じた。日本から本大会に出場した14人のうち、反田恭平が内田光子以来51年ぶりの第2位、小林愛実も第4位…

天から二物(日経新聞 2022年2月27日付)

 ピアニストの山田剛史さんにお会いしたのは、東京都内で開かれた日本バッハコンクール全国大会の審査でご一緒した折だった。審査員長をつとめる先生が、「このかたは、あの灘高から芸大に行かれたのですよ」と紹介してくださった。  …

【連載】響きあう芸術パリのサロンの物語12「ジャーヌ・バトリ」(岩波図書 2022年1月号)

 ラヴェルの『博物誌』『マダガスカル島民の歌』、ドビュッシーの『恋人たちの散歩道』などを初演しているジャーヌ・バトリは、パリ六区のヴィユ・コロンビエ座で前衛音楽のコンサートを企画し、六人組誕生の立役者の一人となったメゾ・…

【連載】「ヴィンテージ・ピアニストの魅力 第37回 ネルソン・フレイレ」(音遊人 2021年冬号)

二〇二一年十一月一日、ブラジルのピアニスト、ネルソン・フレイレの計報が伝えられた。一九四四年生まれの七十七歳。第十八回ショパン・コンクールの審査員に招かれながら直前にキャンセルし、健康状態が案じられていた。二〇一八年以来…

ドビュッシーから見たボードレール(びーぐる 53号)

 クロード・ドビュッシー(一八六二~一九一八)が一九一七年二月、生涯最後に書いたピアノ曲は、『石炭の明かりに照らし出された夕べ』というタイトルを持っている。ボードレール『悪の華』の「露台」の一節からとられたものだ。  そ…

ショパン・コンクール徒然記(音楽の友 2021年10月号)

印象的な女性コンペティターの長い髪  第1次予選はパスポートの関係で最終日しか聴けなかったのだが、動画配信でとても気になつたのがアメリカのサラ・チュアン。緩くカールした長い髪が腰のあたりまで伸びている。「練習曲」作品25…

【連載】響きあう芸術パリのサロンの物語11「ルメール夫人とプルースト」(岩波図書 2021年12月号)

 出世競争する若者たちはこぞって上流階級のサロンに出入りするが、そのサロンを主催する夫人たちにもまた、出世争いがあった……いうのが、プルーストが『失われた時を求めて』の中で、「薔薇の花の画家」ルメール夫人がモデルの一人と…

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