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【連載】「青柳いづみこのひとりごと2」(読売新聞 Monday WOMAN 2002年10月21日夕刊)

いとおしい 施設に入った母 疲れると、夢を見る。 施設に入所している母が、タクシーで帰ってきてしまう夢だ。しかも、何も洋服を着ていない。身長153センチの私と違い、母は背が高く、がっしりしている。その母をかかえて、叱りつ…

「書評とコンサート評」 (學鐙 2002年10月号)

四月から朝日新聞の書評委員をつとめている。レギュラーではないが、同じく朝日の朝刊文化面でも、クラシックのコンサート評を二本ほど書いた。同じ評のようだが、この二つの作業は、実はずいぶん違う。 書評の場合は、基本的に共感した…

【連載】「青柳いづみこのひとりごと1」(読売新聞 Monday WOMAN 2002年10月7日夕刊)

椅子にきちんと坐るのは難しい ある会社の社長サンから、面白い品が送られてきた。べっこう飴に似た色のシート。 一センチ角のサイコロ状の突起が並んでいて、指で押すと、ぷにゅ、ぷにゅ感が何ともいえない。 娘も、「キモーイ」かな…

【書評】村上春樹 著「海辺のカフカ」(サンデー毎日 2002年10月6日号)

一冊の本/サンデーらいぶらりい 言葉がとだえて始まるもの 村上春樹『海辺のカフカ』(上・下)新潮社 私は、村上春樹の一級下にあたる。東大入試のなかった年。芸大にもバリケードは立っていたが、クラシックのピアノ弾きなんて労働…

【連載】「本をめぐる随想 ジェルメーヌ・タイユフェールの『ちょっと辛口』」(月刊和楽 9月号)

次から次に著名な芸術家たちが登場する楽しい本。 音楽好きにはこたえられない女性作曲家の回想録 なぜか、女性には作曲ができない、ということになっている。構築性や客観性に欠けるからだそうな。文学や美術だって同じだと思うが、女…

【連載】「本をめぐる随想 有島武郎『一房の葡萄』」(月刊和楽 8月号)

波と戯れ、翻弄される兄と妹。 名作童話が抽出した人間の果てしないエゴイズム。 有島武郎が描いた、恐ろしい“水” 有島武郎の童話集「一房の葡萄」が、好きだ。タイトルにもなった「一房の葡萄」はあまりにも有名だが、たとえば、「…

【連載】「本をめぐる随想 高樹のぶ子『満水子』」(月刊和楽 7月号)

女性の“神秘性”に説明をつけようとして 男は女に振りまわされ、やがては見失う。 “水”の絵を描く、満水子 『満水子』 が出版されたころ、 ある週刊誌に掲載された高樹のぶ子さんのインタビューがおもしろかった。 「私は、器に…

【連載】「本をめぐる随想 石川康子『原智恵子』優雅で感傷的な最終楽章」(月刊和楽 5月号)

華麗にして波瀾万丈な生涯を追うとともに、日本のクラシック界の態度を批判する書。 成熟した大人の魅力をふりまいた名ピアニスト 石川康子「『原智恵子』優雅で感傷的な最終楽章」は、何年か前の「新潮45」で興味深く読んだが、昨年…

「ヴぃた・読書ありす」(新潮 2002年4月号)

本は、気がついたらそこにあった、としかいいようがない。私のこれまでの人生のどの局面についてもいえることだが、読書に関しても、全くの受け身である。 数年前、ある友人に神田神保町の出版社を紹介してもらった。待ち合わせ場所とし…

【連載】「本をめぐる随想 青柳いづみこ『水の音楽 オンディーヌとメリザンド』」(月刊和楽 5月号)

水の精と〈宿命の女〉をモチーフに  絵画・文学・音楽を往還した近著を紹介する 出かけていく誘惑、何もしない誘惑・・・ 昨年秋に上梓した『水の音楽 オンディーヌとメリザンド』を書くきっかけとなったのは、ある人物に言われた、…

新メルド日記
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