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【今月の本棚】米原万里 著「オリガ・モリソヴナの反語法」(すばる 2002年12月号)
謎解きのスリル、女性たちの連携 ピアノ教師は、よく「反語法」を使う。「あーら、お上手ねぇ」は下手クソということだし、「まあ、きれいな音!」と言ったら、とんでもなく汚い音の意味。弘世志摩のダンスの先生、ユダヤ系ロシア人のオ…
【連載】「本をめぐる随想 川上弘美短編集『龍宮』」(終)(月刊和楽 12月号)
玉手箱のように言葉が立ちのぼってくる川上弘美の短編集『龍宮』の中の一遍 「海馬」は海にも、人間界にもなじめない 『龍宮』のと題された川上弘美の短編集を開いたとき、中から、本当に玉手箱のように言葉が立ちのぼってきた。 ウラ…
【連載】「本をめぐる随想 評伝『玉川上水情死行』」(月刊和楽 11月号)
“オム・ファタル”太宰治の「最後の心中」につきそった。 山崎富栄の評伝『玉川上水情死行』 1930~40年代の日本に出現した「宿命の男」 「ファム・ファタル」というフランス語がある。「宿命の女」とか「運命の女」と訳され…
【連載】「青柳いづみこのひとりごと3(終)」(読売新聞 Monday WOMAN 2002年10月28日夕刊)
片付けても 半日で散らかす私 モノ書きの部屋、というのは、散らかっていていいことになっているらしい。よく雑誌などで「……先生の書斎」というグラビア記事を見かけるが、本棚にはいりきらなかった本が机の上に積み重なり、それだけ…
【連載】「青柳いづみこのひとりごと2」(読売新聞 Monday WOMAN 2002年10月21日夕刊)
いとおしい 施設に入った母 疲れると、夢を見る。 施設に入所している母が、タクシーで帰ってきてしまう夢だ。しかも、何も洋服を着ていない。身長153センチの私と違い、母は背が高く、がっしりしている。その母をかかえて、叱りつ…
「書評とコンサート評」 (學鐙 2002年10月号)
四月から朝日新聞の書評委員をつとめている。レギュラーではないが、同じく朝日の朝刊文化面でも、クラシックのコンサート評を二本ほど書いた。同じ評のようだが、この二つの作業は、実はずいぶん違う。 書評の場合は、基本的に共感した…
【連載】「青柳いづみこのひとりごと1」(読売新聞 Monday WOMAN 2002年10月7日夕刊)
椅子にきちんと坐るのは難しい ある会社の社長サンから、面白い品が送られてきた。べっこう飴に似た色のシート。 一センチ角のサイコロ状の突起が並んでいて、指で押すと、ぷにゅ、ぷにゅ感が何ともいえない。 娘も、「キモーイ」かな…
【書評】村上春樹 著「海辺のカフカ」(サンデー毎日 2002年10月6日号)
一冊の本/サンデーらいぶらりい 言葉がとだえて始まるもの 村上春樹『海辺のカフカ』(上・下)新潮社 私は、村上春樹の一級下にあたる。東大入試のなかった年。芸大にもバリケードは立っていたが、クラシックのピアノ弾きなんて労働…
【連載】「本をめぐる随想 ジェルメーヌ・タイユフェールの『ちょっと辛口』」(月刊和楽 9月号)
次から次に著名な芸術家たちが登場する楽しい本。 音楽好きにはこたえられない女性作曲家の回想録 なぜか、女性には作曲ができない、ということになっている。構築性や客観性に欠けるからだそうな。文学や美術だって同じだと思うが、女…
【連載】「本をめぐる随想 有島武郎『一房の葡萄』」(月刊和楽 8月号)
波と戯れ、翻弄される兄と妹。 名作童話が抽出した人間の果てしないエゴイズム。 有島武郎が描いた、恐ろしい“水” 有島武郎の童話集「一房の葡萄」が、好きだ。タイトルにもなった「一房の葡萄」はあまりにも有名だが、たとえば、「…
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