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【蔵書の中から】蔵原伸二郎 著「東洋の満月」(日本近代文学館館報 第193号 5月15日)

私自身はあまり本を持たない主義で、調べものなどは近くの杉並区立中央図書館ですませることにしている。フランス世紀末文学に関するジャン・ピエロの評論『デカダンスの想像力』(白水社)などは、何度借りたことだろう。古書店で捜せば…

「ラローチャ有終の美」(朝日新聞 2003年5月15日朝刊文化面)

海外ツアーをやめると表明したスペイン生まれの名ピアニスト、アリシア・デ・ラローチャが、日本各地で「さよならコンサート」を行っている。11日に愛知県の豊田市コンサートホールであった演奏会を、ピアニストの青柳いづみこさんに評…

【特集】「再説・大作曲家たちのエチュード」(ショパン 2003年3月号)

やはり名実共に代表曲はショパンとドビュッシー? 音響のエチュード~ショパンからドビュッシーへ ショパンが1831年にパリに出てきたとき、カルクブレンナーに「自分のところで3年間修行したらひとかどのヴィルトゥオーゾにしてや…

【特集】「ロートレアモン 未来の詩人」(現代詩手帖 2003年3月号)

青柳瑞穂とマルドロール 石井洋次郎は、その記念碑的労作『ロートレアモン全集』(筑摩書房)の「訳者解説」で、『マルドロールの歌』に対する一般的な反応は二つに分かれる、と書いている。 「嫌悪と当惑に眉をひそめながら書物を投げ…

【書評】川本三郎 著「郊外の文学史」(新潮 2003年3月号)

ひと口に「郊外」と言っても、時代によって刻々と変わる。「『郊外』は東京の市中から西へ、西へと移動する。かつては郊外だったところがいつのまにか市中になっている」と川本氏は書く。 夏目漱石にとっての「郊外」は、たかだか新宿の…

「ヴィクトリア&アルバート美術館所蔵英国ロマン主義絵画展」(読売新聞関西版 2003年2月26日夕刊)

海の音響く 静かな情熱 ターナー『イースト・カウズ城:停泊地へ向かうレガッタ』の前に立ったとき、音楽が聞こえてきた。ドビュッシーの交響的エスキス『海』の第一曲。オーボエの呼びかけと、コーラングレの応答。こちらは夜明け、タ…

【今月の本棚】米原万里 著「オリガ・モリソヴナの反語法」(すばる 2002年12月号)

謎解きのスリル、女性たちの連携 ピアノ教師は、よく「反語法」を使う。「あーら、お上手ねぇ」は下手クソということだし、「まあ、きれいな音!」と言ったら、とんでもなく汚い音の意味。弘世志摩のダンスの先生、ユダヤ系ロシア人のオ…

【連載】「本をめぐる随想 川上弘美短編集『龍宮』」(終)(月刊和楽 12月号)

玉手箱のように言葉が立ちのぼってくる川上弘美の短編集『龍宮』の中の一遍 「海馬」は海にも、人間界にもなじめない 『龍宮』のと題された川上弘美の短編集を開いたとき、中から、本当に玉手箱のように言葉が立ちのぼってきた。 ウラ…

【連載】「本をめぐる随想 評伝『玉川上水情死行』」(月刊和楽 11月号)

“オム・ファタル”太宰治の「最後の心中」につきそった。  山崎富栄の評伝『玉川上水情死行』 1930~40年代の日本に出現した「宿命の男」 「ファム・ファタル」というフランス語がある。「宿命の女」とか「運命の女」と訳され…

【連載】「青柳いづみこのひとりごと3(終)」(読売新聞 Monday WOMAN 2002年10月28日夕刊)

片付けても 半日で散らかす私 モノ書きの部屋、というのは、散らかっていていいことになっているらしい。よく雑誌などで「……先生の書斎」というグラビア記事を見かけるが、本棚にはいりきらなかった本が机の上に積み重なり、それだけ…

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