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【特別企画】「この音楽書が面白い!」(レコード芸術 2004年7月号)

最高に面白いオススメの一冊 『グルダの真実』クルト・ホーフマンとの対話 田辺秀樹訳 グルダの弾くベートーヴェン『ワルトシュタイン』の爽快な演奏を聴きながらこの原稿を書いている。 本書は、オーストリア放送協会のディレクター…

【巻末エッセイ】レーモン・ルーセル「ロクス・ソルス」岡谷公二訳(平凡社ライブラリー)

「ルーセルと音楽」 「レーモン・ルーセルは音楽をやっていて、ピアノを弾き、歌も歌いました」と、ミシェル・レリスは語っている。「父も歌が大好きで、ルーセルが伴奏することもありました。二人は順番に歌っていました」(『レーモン…

【連載】「花々の想い…メルヘンと花 7」(華道 2004年7月号)

アンデルセン「即興詩人」 ミルテは、和名を銀梅花といい、常緑の低木で匂いやかな白い花が咲く。西洋では、花嫁さんのブーケによくミルテが使われる。 すぐ思い浮かぶのはシューマンの歌曲集だが、実際にはミルテを歌った曲はなく、ハ…

【連載】「作曲家をめぐる〈愛のかたち〉最終回」(新日本フィルハーモニー交響楽団 2004年7月号)

新日フィル定期プログラム 2004年7月号 プログラムエッセイ   引き裂かれた愛 オペラの、それも悲劇にみられる〈愛のかたち〉は、ほとんど「引き裂かれた愛」ではないかと思うことがある。 ヴェルディ『椿姫』やプッチーニ『…

【連載】「花々の想い…メルヘンと花 6」(華道 2004年6月号)

「オズの魔法使い」 フランク・ボームの『オズの魔法使い』には、印象的なケシ畑のシーンがある。 カンサスの大草原で育ったドロシーちゃんは、愛犬のトトとともに竜巻で家ごと吹き飛ばされてしまう。降り立ったのはマンチキンの国。頭…

新国立劇場 ヴェルディ「マクベス」公演プログラム(2004年5月)

男の野望、女の野望 元ユーゴスラヴィア(現セルビア=モンテネグロ)共和国大統領ミロシェヴィッチの夫人ミリャナ・マルコヴィッチは、「ベオグラードのマクベス夫人」と呼ばれた。『独裁者の妻たち』の著者ヴィントガッセンは、「彼女…

【連載】「花々の想い…メルヘンと花 5」(華道 2004年5月号)

宮澤賢治「貝の火」 宮沢賢治の童話では、「貝の火」が一番好きだった。 鈴蘭の葉や花がしゃりんしゃりん音を立てる野原。子ウサギのホモイは、川で溺れかけたヒバリの子を助けてやったお礼に、不思議な玉をもらう。それはとちの実ほど…

【連載】「作曲家をめぐる〈愛のかたち〉第7回」(新日本フィルハーモニー交響楽団 2004年5月号)

プログラムエッセイ 法悦の愛 「法悦」という言葉は、なかなかに両義的である。辞書をひくと、「仏の道を聴いて起こるこの上ない喜び。転じて一般に、うっとりするような喜び。エクスタシー」と書かれている。仏の道ときいて連想される…

【書評】金原ひとみ 著「蛇にピアス」(サンデー毎日 2004年2月29日号)

最近、若い作家の小説が、どんどん遠くなる感じがしていた。トシのせいかとも思ったが、「蛇ピ」はぴたっときた。なぜだろう。 理由は二つ、三つかな、ある。ひとつは、文章がきれいだということ。流れとリズムがいいのと、その場にすっ…

【連載】「作曲家をめぐる〈愛のかたち〉第6回」(新日本フィルハーモニー交響楽団 プログラムエッセイ5 2004年4月号)

〈官能の愛〉 「”エロティック”な音楽など存在しない」と主張するのは、アメリカの作家・評論家コリン・ウィルソンである。「エロティシズムを生み出すのは聴き手の想像力の役目だ」 詳しくは大脳生理学の助けでも借りるしかないが、…

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