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【書評】クリスチャン・ガイイ著「ある夜、クラブで」(すばる 2005年1月)
至福のとき 「ある夜、クラブで」クリスチャン・ガイイ著(野崎歓 訳) もし私がピアノをやめてしまって(私は、しょっちゅうピアノをやめている)十年たって、出張中に偶然はいったクラブで自分そっくりに弾く若いピアニストを見たら…
【連載】「花々の想い…メルヘンと花(終)」(華道 2004年12月号)
アンデルセン『ある母親の物語』 アンデルセンの『ある母親の物語』は、読むたびに涙してしまう。ある冬の夜、幼い坊やの看病をしていた母親のもとに、死神が訪れる。彼は、母親がちょっとうとうとしたすきに坊やを連れ去った。 必死に…
【特集】「音楽に恋愛を聴く」(音楽の友 2004年12月号)
恋の喜びとエロスの充満──ドビュッシー《喜びの島》 ドビュッシーは、どちらかといえば暗い性格だった。最初の妻リリーは、ときおり陽気になることもあるが、彼の心の底には「哀しみ」があった、と回想している。 ドビュッシーの音…
【連載】「花々の想い…メルヘンと花 11」(華道 2004年11月号)
ジョン・キーツ「イザベラ あるいは、バジルの鉢」 ジェルメーヌ・タイユフェール(一八九二~一九八三)は、フランス六人組ただ一人の女性作曲家である。「狂乱の二十年代」のモダン・ガールで、ヴァイオリニストのジャック・ティボー…
【解説】小川洋子 著「やさしい訴え」(文春文庫 2004年10月刊行)
楽器としての女性 ジャン=フィリップ・ラモーはルイ十四世、十五世に仕えた宮廷作曲家である。バレエ・オペラ『優雅なインド』など規模の大きな作品が多い。彼のチェンバロ曲『やさしい訴え』は、ドラマティックな作風のラモーにしては…
【連載】「花々の想い…メルヘンと花 10」(華道 2004年10月号)
サン=テクジュペリ「星の王子さま」 サン=テクジュペリの『星の王子さま』のバラのエピソードには、世界中の人がしんみりさせられたに違いない。 王子さまは星に一輪のバラの花を残してきた。手のかかるバラだった。自分の美しさを鼻…
【連載】「花々の想い…メルヘンと花 9」(華道 2004年9月号)
新田次郎「彼岸花」 『彼岸花』といえば小津安二郎の映画や、その原作となった里見弴(トン)※の短編を思い浮かべる人が多いだろうが、私は新田次郎の『彼岸花』の方が好きだ。((トン)※は「弓」へんに、つくりは「淳」) 東京近郊…
安川加寿子記念会第6回演奏会レポート(ショパン 2004年9月号)
さまざまな年代のピアニストが集って 二十歳の前田拓郎から、芸大名誉教授として幾多の俊英を育てた高良芳枝まで、半世紀以上の隔たりがあるさまざまな年代のピアニストが安川記念会第六回演奏会に集い、心踊る演奏をくりひろげた。 ソ…
【連載】「花々の想い…メルヘンと花 8」(華道 2004年8月号)
中島敦「夾竹桃の家の女」 中島敦『夾竹桃の家の女』は、東南アジアのパラオを舞台にした官能的な掌編である。 風がすっかり呼吸を停めた午後、主人公はパラオ特有の滑らかな敷石路を歩いていく。一週間前に患った熱病が治りきらず、息…
【特集】「大学院ってどんなところ?」(ショパン 2004年7月号)
博士課程を修了してみてわかったこと 自分の直感を証明するために 大学院といっても私のケースはとても特殊なので、あまり参考にはならないと思うが、とにかくお話してみよう。 私が東京芸大の大学院修士課程に進んだとき、まだ博士課…
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