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【エッセー】「こころを言葉に」(日本エッセイスト・クラブ編 2007年7月刊)
アンブラッス 井山登志夫の『僕の女房はフランス人』(三修社)は、実地体験から異文化コミュニケーションについて考える、なかなかおもしろい本だ。 食通の街、ディジョンで夫人のマリー・テレーズと出会い、「一目惚れ」で結婚した井…
「ドビュッシーと秘密結社-『ダ・ヴィンチコード』の真偽や如何に」(レコード芸術 2006年7月号)
「私の中にあるすべてのものは説明不可能です」とドビュッシーは手紙に書いている。「私は自分自身を制御することができません」 いったいこういう人物に秘密結社の総長がつとまるものだろうか。とはいえ、秘密厳守にかけてはドビュッシ…
「教育の力を取り戻す 忘れえぬ教師の思い出」(文藝春秋 2006年11月臨時増刊号)
マンタロー 中学の二年と三年のときの担任は国語の教師で、本名の政太郎をもじってマンタローと呼ばれていた。中学生が、クボマンこと久保田万太郎を知っていた時代である。 ある教育系の国立大附属だったその中学は妙な学校で、陸軍士…
「ヤマハホールの覗き窓」(銀座百点 2006年10月号)
私たち音楽家が銀座に行くといったら、目的地はたいてい銀座ヤマハ店である。楽譜、音楽書、音楽雑誌、五線紙、メトロノーム、CD、楽器・・・。みんなここでそろう。 レッスン室の楽譜棚に並んでいる楽譜の裏表紙には、音叉を三本束ね…
【書評】大野芳 著「近衛秀麿 日本のオーケストラをつくった男」(サンデー毎日 2006年7月2日号)
早く来すぎた理想主義者の肖像 洋楽黎明期の名指揮者近衛秀麿は、一八九八年、由緒ある近衛侯爵家の次男として生まれた。兄は三七年と四〇年に首相をつとめ、戦犯容疑で逮捕直前に自決した近衛文麿である。 音楽家だけみても、フルトヴ…
「ぼくは作曲家になりたかった」(岩波「図書」2006年5月号)
カナダの奇才ピアニスト、グレン・グールド(一九三二~八二)の『二十七歳の記憶』は美しい映像作品だ。 少年の面影を残したグールドが、トロント北百五十キロにあるシムコー湖畔の別荘でピアノを弾き、歌い、雄大な自然の中で愛犬バン…
「パリの芸術家たちとその出会い フォーレ、ドビュッシー、 サティー が集ったサロン」(2006年4月)
サロンとは客間のことです。ロマン派の時代、上流階級の人々はすぐれた芸術家を自宅に招き、公開に先立って作品を鑑賞したり、演奏を聴いたりしました。とりわけショパンにとって、貴族やブルジョワのサロンは仕事場でもありコンサート会…
【エッセー特集】「君の名は」(正論 2006年3月号)
珍しいのがとりえ いづみこ、という字あまりみたいな名前である。 みどりこ、さくらこは見かけるが、いづみこなんてきいたことない。 きっかけは、ちょっと変わっている。父方の祖父はフランス文学者で、青柳瑞穂という。はじめての孫…
「素顔のハイドシェック」(ムジカノーヴァ 2005年9月号)
2005年6月、フランスのピアニスト、エリック・ハイドシェックが来日し、各地で協奏曲を演奏したり、レクチャー・コンサートを開いたりした。 ハイドシェックというと、必ず経歴の最初にシャンパン王シャルル・エドシック家に生まれ…
【巻頭随筆】「ショパンを聴きながら」(月刊『大阪人』2005年8月号)
今、仕事でSP時代の名ピアニストたちの弾くショパンばかり聴いている。 ファッションもボディコンが流行ったりHラインが流行ったりするように、ショパン演奏もそのときそのときでスタイルが変わってきた。 私の学生時代は、あんまり…
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