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「ぼくは作曲家になりたかった」(岩波「図書」2006年5月号)
カナダの奇才ピアニスト、グレン・グールド(一九三二~八二)の『二十七歳の記憶』は美しい映像作品だ。 少年の面影を残したグールドが、トロント北百五十キロにあるシムコー湖畔の別荘でピアノを弾き、歌い、雄大な自然の中で愛犬バン…
「パリの芸術家たちとその出会い フォーレ、ドビュッシー、 サティー が集ったサロン」(2006年4月)
サロンとは客間のことです。ロマン派の時代、上流階級の人々はすぐれた芸術家を自宅に招き、公開に先立って作品を鑑賞したり、演奏を聴いたりしました。とりわけショパンにとって、貴族やブルジョワのサロンは仕事場でもありコンサート会…
【エッセー特集】「君の名は」(正論 2006年3月号)
珍しいのがとりえ いづみこ、という字あまりみたいな名前である。 みどりこ、さくらこは見かけるが、いづみこなんてきいたことない。 きっかけは、ちょっと変わっている。父方の祖父はフランス文学者で、青柳瑞穂という。はじめての孫…
「素顔のハイドシェック」(ムジカノーヴァ 2005年9月号)
2005年6月、フランスのピアニスト、エリック・ハイドシェックが来日し、各地で協奏曲を演奏したり、レクチャー・コンサートを開いたりした。 ハイドシェックというと、必ず経歴の最初にシャンパン王シャルル・エドシック家に生まれ…
【巻頭随筆】「ショパンを聴きながら」(月刊『大阪人』2005年8月号)
今、仕事でSP時代の名ピアニストたちの弾くショパンばかり聴いている。 ファッションもボディコンが流行ったりHラインが流行ったりするように、ショパン演奏もそのときそのときでスタイルが変わってきた。 私の学生時代は、あんまり…
「ショパン弾きの系譜」(NHK〈スーパーピアノレッスン〉テキスト 2005年8月〜11月)
ショパン演奏の系統は、おおよそ5つに分けられるような気がします。 繊細・微妙なタッチで勝負する「エレガント派」(ピアノの詩人系など)、19世紀的な解釈をほどこす「デフォルメ派」(のーびたりちぢんだり系など)、正確無比なテ…
【巻頭随筆】「アルチストとアルチザナ」(文学界 2005年7月号)
「ピアノを弾くことは、アール(芸術)なんてご大層なものじゃない」、と、亡きピアノの師ピエール・バルビゼはしばしば言っていた。「ひとつひとつの音をどのように立ち上げるか、音階をどのようにむらなく弾くか。アルチザナ(職人)の…
【公演プログラム】「ルル~破滅の微笑み~」
ルル──水の象徴 北九州芸術劇場プロデュース 原作 F・ヴェデキント 構成・演出 白井晃 脚本 能祖将夫 今、どんなカレシとつきあっているか、一目瞭然でわかる女性がいる。 カレシの好みによってお嬢さま風になったりチーママ…
【書評】クリスチャン・ガイイ著「ある夜、クラブで」(すばる 2005年1月)
至福のとき 「ある夜、クラブで」クリスチャン・ガイイ著(野崎歓 訳) もし私がピアノをやめてしまって(私は、しょっちゅうピアノをやめている)十年たって、出張中に偶然はいったクラブで自分そっくりに弾く若いピアニストを見たら…
【連載】「花々の想い…メルヘンと花(終)」(華道 2004年12月号)
アンデルセン『ある母親の物語』 アンデルセンの『ある母親の物語』は、読むたびに涙してしまう。ある冬の夜、幼い坊やの看病をしていた母親のもとに、死神が訪れる。彼は、母親がちょっとうとうとしたすきに坊やを連れ去った。 必死に…


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