執筆・記事 アーカイブ: 2019年

フランスと私「私が、私のようであること」(ふらんす 2019年12月号)

演奏家になりたいと思ったことはなかった、ように思う。もともと手が小さかったし、弾けない曲も多い。ピアノも選り好みする。音量もあまり出ないから、オーケストラとの共演には向かない。競争も嫌いで、コンクールではいつもお先にどう…

ストラヴィンスキーとドビュッシーの危うい関係(レコード芸術 2019年5月号)

ストラヴィンスキーとドビユッシーの蓬遁は、1910年6月25日、《火の鳥》の初演時に遡る。ディアギレフから若きロシアの作曲家を紹介されたドビュッシーは、作品について愛想のよい感想を述べたあと、彼を夕食に招待した(有名なツ…

【連載】「このごろ通信 「耳のための劇」に浸る 」(毎日新聞 2019年9月9日付夕刊)

作曲家・ピアニストの高橋悠治さんは、最初に詩人になりたいと思ったというだけあって、言葉を伴う作品に名作が多い。「カ・ミ・サ・マ」で始まる「パレスチナの子どもの神さまへのてがみ」、矢川澄子さんの詩による「だるまさん千字文」…

【連載】「このごろ通信 望月遊馬の詩の調べ 」(毎日新聞 2019年9月2日付夕刊)

 詩人の望月遊馬(もちづきゆま)をご存知だろうか。2006年に18歳で現代詩手帖賞を受賞した若手だ。  私も少し前までは知らなかったのだが、つい先ごろ上梓(じょうし)した第4詩集「もうあの森へはいかない」を送っていただい…

【連載】「このごろ通信 十人十色の開拓者たち 」(毎日新聞 2019年8月26日付夕刊)

 今年は梅雨が長かったので、夏が始まったばかりだと思っていたらもう秋が目の前。急いで仕事をしてしまわなければ。  暑いのが好きで、窓の外で太陽がかっと燃えていると、やる気が出る。例年は秋に本やCDが出るので、レコード会社…

【連載】「このごろ通信 音と言葉をつなぐ難業 」(毎日新聞 2019年8月19日付夕刊)

 最近、一般大学の催しに出演することも多い。昨年は青山学院大文学部の比較芸術学会で、ピアノを弾きながら記念講演をさせていただいたし、名古屋外国語大でも、創立30周年記念事業の一環としてレクチャーコンサート。学外のお客さま…

【連載】「このごろ通信 先駆者のたおやかな奏法 」(毎日新聞 2019年8月5日付夕刊)

 7月20日、東京・恵比寿の日仏会館で、ピアノの恩師安川加壽子先生の回顧展が開かれた。  1922年生まれの先生は、生後14ヵ月でフランスに渡り、パリ音楽院でラザール・レヴィに師事。15歳で卒業し、演奏活動に入ったものの…

【連載】「このごろ通信 新米ママさんのために」(毎日新聞 2019年7月29日付夕刊)

 7、8月は2人の新米ママと連弾コンサートで共演する。ピアノは一人で演奏するが、2人で一台を分けあって弾くこともある。ピアノの先生が生徒と弾くために書かれた連弾曲では、生徒のパートが比較的易しく書かれていることが多い。作…

【連載】「このごろ通信 歴史的名器の音色」(毎日新聞 2019年7月22日付夕刊)

 トランプ米大統領が来日した際、安部晋三首相と共同会見を行ったのが迎賓館赤坂離宮の羽衣の間。青空を模した天井画、豪華シャンデリア。まるでフランスの王宮にいるような錯覚を起こす。  7月4日、この素晴らしい空間で19066…

【連載】「このごろ通信 対話と思索の演奏で」(毎日新聞 2019年7月8日付夕刊)

 4年に1度開催されるチャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門で、弱冠20歳の藤田真央が溌刺(はつらつ)とした演奏で第2位に入賞した。2002年に上原彩子が日本人として初めて優勝してから17年が経過している。その間、上…

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