執筆・記事
「ピアニストの読書術~クセジュで読み解くドビュッシー」(白水社新書カタログ2010巻頭エッセイ)
白水社の書籍の読者も、そして書き手も、きっと教養溢れる方々だろう。知識も話題も豊富、学問の体系もきっちりおさえた上で縦横無尽な議論を展開させる。その点で、私たち音楽家はとても弱いのだ。 とくに日本の演奏家は。ヨーロッパで…
「グロテスクの美とドビュッシー」(岩波「図書」2010年3月号)
フランス近代の大作曲家クロード・ドビュッシーときいて、人は何を思い浮かべるだろう? コマーシャルにもよく使われる『月の光』、マラルメの長詩に想を得た『牧神の午後への前奏曲』、はたまたCDのジャケットを飾るクロード・モネの…
【書評】末延芳晴 著「寺田寅彦 バイオリンを弾く物理学者」平凡社(北海道新聞 2010年1月31日朝刊)
音楽感じる希有の才能 仕事がら、音楽や音楽家が登場する作品の解説を依頼されることが多い。もちろん喜んで書かせていただくが、音楽とは気持ちの流れや自然の律動、光の振動に音高や響きを与えたものだから、モティーフとして扱うだけ…
4回連載・パートナー 第4回(終)(みずほ情報総研 広報誌 NAVIS 2010年1月)
最初のグランド・ピアノ 四歳でピアノを習いはじめたころ、最初に弾いたのは、地つづきに住んでいる祖父がもっていた古いアップライトのピアノだった。 フリンジのついたカバーに、くるくるまわるフェルト張りの椅子がついていた。 ピ…
「わたしが選ぶ 日本の文化遺産」(芸術新潮 2010年1月)
ドラマの生れる家 旧青柳瑞穂邸 父方、母方と、身近なところで文化財には事欠かない。 私が現在も住んでいる東京杉並の家は、亡祖父にあたる青柳瑞穂が昭和2年から住んでいたものである。もともとは、祖母の実家が持っていた貸家だっ…
【連載】「ふるさとで弾くピアノ 第2回」(神戸新聞松方ホール WAVE 2009年秋)
ピアノ開き こちらをクリックしてご覧ください。【PDF】
【連載】「酒・ひと話 第4回(終)」(読売新聞 日曜日版 2009年10月25日)
ケイとレツィナ ケイのことをお話ししよう。ケイは私の可愛い後輩で、芸大を出てからフランスに留学した。留学する前、私の家に遊びにきた。青柳さん、私、どうしても留学したいんですと言って、遠くを見るような目つきをした。 クラシ…
【連載】「酒・ひと話 第3回」(読売新聞 日曜日版 2009年10月18日)
恩人の形見 モノ書きとピアノ弾きを兼ねる私の仕事部屋はふたつあり、ピアノの部屋にはワインがころがっているし、書斎には日本酒がころがっている。意図したわけではないが、なんとなくそうなってしまう。 デスクの上には、酒盃もころ…
「新 仕事の周辺 作品そのものが音楽という文学」(産経新聞 2009年10月11日朝刊)
こちらをクリックしてご覧ください【PDF】
【連載】「酒・ひと話 第2回」(読売新聞 日曜日版 2009年10月11日)
文士と酒 父方の祖父は青柳瑞穂というフランス文学者である。モーパッサンの翻訳などでわずかに名が残っているが、骨董蒐集家としての方が記憶されているかもしれない。彼は、井伏鱒二率いる「阿佐ヶ谷会」に、私が今も住む家を会場とし…
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