【連載】「PICK UP 風かおるアルバム」(芸術新潮 2014年6月号)

三上明子&坂戸真美
『風のディアローグ〜フルートとオルガンのためのフランス音楽〜』

フォンテック 2800円(税別)
青柳いづみこ選・文

一聴して、文字どおり耳を洗われる。頭の中をさわやかな風が吹き抜けていく。

フルートは管に息を吹き込んで音を出す。オルガンは加圧した空気を鍵盤で選択したパイプに送って発音する。一見ミスマッチなこのとりあわせには、実は共通点が多いのだ。フルートの三上明子は東京藝術大学大学院、オルガンの坂戸真美は武蔵野音楽大学大学院と学舎は違うが、いずれも作曲家、ピアニスト、オルガニストとして活躍し、日本でも長く教鞭をとったアンリエット・ピュイグ=ロジェの薫陶を受けている。

このアルバムには、そのピュイグ=ロジェの「ルシヨンの3つのシャンソン」はじめ、フランス近代・現代の作品、わが国の武満徹「エア」もおさめられている。

耳に心地よい作品ばかり。フルートののびやかな音、自在な表現が、それを支えるオルガンの豊かな響きとあいまって、空高く美しいアラベスクを描き出していく。

2014年5月27日 の記事一覧>>

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