【連載】「PICK UP スリリングな時間」(芸術新潮 2014年12月号)

ニコラ・プロスト『パリのサクソフォン』

マーキュリー2800円(税別)
青柳いづみこ選+文

聴いたときは風邪気味だったのだが治ってしまった! そのくらい細胞を活性化してくれるアルバム。

サクソフォンという楽器は1840年代、その名もアドルフ・サックスという人物によって開発された。だから古典派やロマン派の作品がなく、ジャズや民俗音楽との垣根も他の楽器に比べて極端に低い。フランスのサックス奏者ニコラ・プロストによるこのアルバムも、クロード・ドビユッシー『狂詩曲』を除けば、すべて20世紀作曲家の作品で占められている。

プロストに捧げられたギヨーム・コヌソン『テクノ・バラード』はジャズ=ロック風、日本人作曲家、長生淳(ながおじゅん)の『パガニー二・ロスト』は、ヴァイオリンの名曲のアレンジ。以降、ジャズ界の大物チャーリー・パーカーの『マイ・リトル・スウェード・シューズ』まで、凶暴で煽情的で、ときに哀愁に満ちたサクソフォンの魅力にはまってしまう。

2014年11月28日 の記事一覧>>

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