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【書評】村上春樹「小澤征爾さんと、音楽について話をする」(週刊現代 2012年1月7日号)

最高の”解釈家”が稀代の指揮者から聴き尽くした究極のインタビュー 私はピアノ弾きの端くれだが、指揮というジャンルは常に謎だった。当事者は何ひとつ音を発しないのにどうしてあれだけの人数のプレイヤーを…

【書評】アドリエンヌ・モニエ著 岩崎力 訳 『オデオン通り アドリエンヌ・モニエの書店』(河出書房新社)

本を愛する心意気熱く パリの書店で感激するのは、店員がじつに本についてよく知っていることだ。タイトルと著者名を言うと、たちどころに棚まで案内してくれる。日本ではこうは行かない。画面で検索しろとつっぱねられるのがおちだ。 …

【書評】小野光子 著「回想 音楽の街 私のモスクワ」(東京新聞 2011年5月15日)

私は、芸大大学院修了後、オペラの稽古ピアノのアルバイトをしていたことがある。演目はチャイコフスキー『エウゲニー・オネーギン』で、 主役は本書の著者小野光子氏。年譜を見ると、 戦後初の上演だったらしい。 小野氏が日本のうた…

【書評】池部良 著「江戸っ子の伜」(北海道新聞 2011年5月11日朝刊)

二枚目俳優 素の語り口 東日本大震災が勃発したとき、私は成田上空にいた。機内で「関東地方に震度7の地震」という誤報が流れ、すわ、関東大震災の再現かと客席はパニックになった。 昨年十月に亡くなった池辺良さんは、五歳と七ヶ月…

【書評】ロベルト・コトロネーオ著 河島英昭訳「ショパン 炎のバラード」(青春と読書 2010年11月号)

音楽とは、情念そのもの 今年生誕二百年を迎えたショパン。よく知られているのは『小犬のワルツ』か『雨だれの前奏曲』か。名前がすぐ浮かぶショパン弾きはブーニンだろうか、ランランだろうか。 本書のテーマである『バラード第四番』…

【書評】カズオ・イシグロ著「夜想曲集」 越谷政義監修「ジャパニーズ・ロック・インタ ビュー集」

とにかく面白かったこの一冊 (特)カズオ・イシグロ著 土屋政雄訳『夜想曲集』  お薦めの一冊目は、若い頃はミュージシャン志望だったというカズオ・イシグロの、初の短編集『夜想曲集』です。往年の大物歌手、無名のバックプレイヤ…

【書評】奥泉光 著「シューマンの指」(日本経済新聞 2010年8月15日付朝刊)

ピアニストは指がすべて。優れた音楽性があっても優れた指がなければ演奏できない。そんなことを言われる。私も、自著に「指」を盛り込んだタイトルをつけることが多い。でも、本書のタイトルは「指がすべてではない」という意味に使われ…

【書評】角田光代著「ひそやかな花園」(サンデー毎日 2010年8月15日付朝刊)

生まれてきてよかったと思うために あるピアノの生徒が不妊症に悩み、人工受精で子供を授かった。快哉を叫んだが、同時に、そうして生まれてきた子供が背負わされるものにも思いをはせた。 本書のテーマはさらに複雑だ。登場人物の七人…

【書評】ジェレミー・マーサー著「シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々」(北海道新聞 2010年6月27日朝刊)

ヘミングウェイ『移動祝祭日』には、シルビア・ビーチの「シェイクスピア書店」のことが出てくる。失われた世代が集った伝説の書店だ。一九四一年に閉店したが、十年後に新しい書店が開店し、ヘンリー・ミラーやアナイス・ニンが頻繁に出…

【書評】末延芳晴 著「寺田寅彦 バイオリンを弾く物理学者」平凡社(北海道新聞 2010年1月31日朝刊)

音楽感じる希有の才能 仕事がら、音楽や音楽家が登場する作品の解説を依頼されることが多い。もちろん喜んで書かせていただくが、音楽とは気持ちの流れや自然の律動、光の振動に音高や響きを与えたものだから、モティーフとして扱うだけ…

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