【連載】「音楽家の愉しみ 第13回ワルシャワごはん」(音遊人2026年春号)

 二〇二五年十月三日から二十一日まで、第十九回ショパン・コンクールの取材のためにワルシャワに滞在していた。
 コンクールの取材は二〇一五年の予備予選からだから、もう七度目。ホテルではなく、会場のフィルハーモニー近くのキッチン付きアパートを借りることにしている。
 近くのスーパーで食材を仕入れて調理し、取材仲間やコンテスタントをお招きする。
 二〇二五年の本大会もその方式で行こうと思っていたら、行きつけのスーパーが閉店しており、プログラムが長くて午前セッションの審査も延びることが多く、アパートに戻って取材メモなどを整理していると、すぐに午後セッションが始まってしまう。
 そんなわけで、ランチはレストランに行くことが多かった。
 ショパン・コンクールは大変な人気で、ウェブのチケットは即完売。日本からのツアーでいらした方も多く、休憩時間にロビーに出ると、あちこちから声をかけていただく。
 神戸のピアニスト、一ノ瀬夏美さんは、デュオ相手のお友達といらしていた。一次予選の昼休みにホール近くのカフェへ。スープとカツレツのセットに、オプションで牛肉のタルタルをシェア。生肉のミンチを香辛料で和えたもので、お二人ともお好きとのこと。
 次の日は、岐阜サラマンカホールの支配人、嘉根礼子さんやオランダ在住のピアニストの方と、コンテスタントが食事を取るというレストランへ。
 なんと、午後の部に出場予定の進藤実優さんがいらしていた。ひとことエールを送り、テーブルにつく。ポーランド風スープと肉料理を注文。スープにはソーセージの輪切りが入っている。豚肉のソテーと牛ほほ肉の煮込みは、二皿を四人でシェアする。
 パリ在住のピアニスト、辺見さくらさんも同門のお友達とツアーに参加。一次と二次の間のお休みの日にアパート前で待ち合わせ、ベトナム料理のお店で牛肉のフォーをいただく。辺見さんに手頃なスーパーを教えていただき、買い出しすることもできた。
 ワルシャワに来る前、日本での公演にゲスト出演してくださった能役者の清水寛二さんにもお会いした。こちらはコンクール観戦ではなく、能人形の公演でクラクフから移動されてきたとのこと。大使館の方に紹介していただいたカフェでランチ。牛肉のカルパッチョがとても美味しかったので、つい白ワインも注文してしまった。
 三次予選前の夜には、取材仲間のライター、森岡葉さんやピアニストの楠原祥子さん、アーリンク明美さんと連れ立って、ポーランド料理のレストランへ。どのお皿も巨大なので、前菜としてマグロのタルタルとピエロギ、メインでは牛ほほ肉のワイン煮込み、子牛のカツレツを注文し、四人でシェア。
 もちろん、アパートでの持ち寄りパーティーもある。同じアパートに住む森岡さんはお料理が上手で、私が到着した日には美味しい野菜スープをつくってくださったし、豚のもも肉をザワークラウトで蒸し煮したディッシュは最高。私もナスやズッキーニ、トマト、パプリカでラタトゥイユをつくり、鍋のまま森岡さんのお部屋に持っていく。
 本選が終わり、結果を待つまでの間には、桑原志織さんの応援にウィーンからかけつけた今井理子さんやコンテスタントの東海林茉奈さん、ピアノ教師の松田映子さんと門下生の山地祐莉香さんと取材陣をまじえて最後の晩餐。森岡さんのマレーシア風カレー、楠原さん差し入れのパテとソシソンを堪能した。ご馳走さま、そしてお疲れさま!

2026年6月20日 の記事一覧>>

より

新メルド日記
執筆・記事TOP

全記事一覧

執筆・記事のタイトル一覧

カテゴリー

執筆・記事 新着5件

Top