【書評】「阿佐ヶ谷アタリデ大ザケノンダ」(読売新聞2020年12月6日付朝刊)

阿佐ヶ谷文士といえば戦前、東京の阿佐谷周辺に居を構えた井伏鱒二や太宰治、外村繁、河盛好蔵、亀井勝一郎らが思い起こされる。その集まりは文学論議を交わす清談の会と思っていたが、真相は井伏の詩から取った本書のタイトルのごときだったようだ。

ピアニスト・文筆家の著者は、自宅を会場に供していた仏文学者、青柳瑞穂の孫。戦後も続いた集まりを間近で見聞きした子供の頃の記憶を織り交ぜ、文士の町の今昔をつづる。

男たちは将棋を指し、飲み食いした後、さらに近所の飲み屋に繰り出す。妻たちは被害者だ。お金も食材もないのに会費や料理を工面せよと言われ、「女房を手品遣いだと思ってるんでしょうか」と愚痴る。筆致は軽快で歯切れ良く、大酒飲みに容赦ない。

平凡社、2400円(良)

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