書評
【書評】「ピアニストが見たピアニスト(文庫)」日経新聞 2010年6月2日 評・飛浩隆(作家)
私の読書日記 名手の技巧と苦しみ 少し前に、ネットオークションで中古の外国産CDプレーヤーを手に入れた。一聴してその音の良さ、いや「音楽の良さ」に驚愕した。耳慣れたCDから、聴き逃していた抑揚や音色の変化、「奏者の肉体」…
【書評】「無邪気と悪魔は紙一重(文庫)」読売新聞 2010年5月17日
講談社エッセイ賞受賞など、文筆の世界でも評価の高いピアニストが、文芸およびオペラの世界に登場する魔性の女の本性を探る。取り上げられるのは男を翻弄(ほんろう)する女たち。だがあのカルメンを「ファム・ファタル(宿命の女)」失…
【書評】「六本指のゴルトベルク」MOSTLY CLASSIC 2009年6月号
師 安川加壽子の評伝『翼のはえた指』で吉田秀和賞を受賞するなど文筆でも活躍する著者の最新刊。音楽好きと文学好き両者を満足させる読書案内だ。 表題は第1章「打鍵のエクスタシー」で取り上げるトマス・ハリス著『羊たちの沈黙』に…
【書評】「六本指のゴルトベルク」産経新聞 2009年5月17日 評・福岡伸一(分子生物学者)
音楽家の奏でる文学批評 この大型連休、東京国際フォーラムで開催された音楽祭ラ・フォル・ジュルネに通った。 今年のテーマはバッハ。私の目当てはゴルトベルク変奏曲の聴き比べ。こんな贅沢はない。チャイコフスキー・コンクール優勝…
【書評】「六本指のゴルトベルク」読売新聞 2009年4月15日朝刊
トマス・ハリスのベストセラー『羊たちの沈黙』に出てくる天才殺人鬼レクター博士には、左手の中指が2本ある。バッハの「ゴルトベルク変奏曲」を好んで聴き、続編では自らハープシコード(映画ではピアノ)も弾く。さて、その腕前やいか…
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