【関連記事】「グレン・グールド 未来のピアニスト」神戸新聞 2011年11月26日夕刊

没後30年機に奇才のピアニストグールド脚光 独特の演奏スタイル、突然の引退…

真夏でも手袋をはめ、コート姿で生活。人気の絶頂期にコンサートの舞台から身を引き、スタジオに引きこもった。クラシック音楽の枠を超えて人気を集めたカナダ出身のピアニスト、グレン・グールド。生誕80年、没後30年に当たる2012年を前に、奇才の生涯に光を当てたドキュメンタリー映画の公開や関連書出版が相次いでいる。

トロントに生まれたグールドは、低いいすに腰掛けて背中を丸め、歌いながら演奏する個性的なスタイルなどで注目を集め、20代で米国に進出するとすぐに大手レコード会社と契約。1956年発売のデビュー盤は、プロデューサーの注文を拒否しバッハのゴルトベルク変奏曲を収録すると言って譲らず、その結果大ヒットした。 クラシックの音楽家にしては珍しくファッション誌などにも取り上げられ、幅広く支持された。一躍スターダムにのし上がったが、60年代中盤に演奏会から引退。スダジオで録音に没頭したほか、放送ジャーナリストとしても活動した。

年齢層広く

カナダ放送協会のために自身が制作したドキュメンタリー番組などを集めたDVDが今年、日太でも発売された(ソニー)。演奏風景や目ら語る解説を収録。10枚組みの輸入盤で字幕がないにもかかわらず、音楽ファンを中心に好評という。ソニーの担当者は「先行しがちな”変人”のイメージの先にある、人闇グールドの多様な側面に注目が集まりつつあるのでは」と話す。 私的音源や日記、生前を知る人物の証言などでその人生を追う映画「グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独」の上映も各地で始まった。配給会社によると、幅広い年齢層で盛況。「人物像を知りたいと思った方も多いようです」と担当者。

先見性

グールドについて書かれた海外著作の邦訳をはじめ、新たな関連書籍も刊行されている。「グレン・グールド未来のピアニスト」(筑摩書房)を書いたピアニストの青柳いづみこさんは、その魅力を「まず、演奏が上手なこと」と話す。 独特の姿勢も「離れた鍵盤を続けて弾くような作品には向かないが、バッハらの時代の作品を弾くに当たっては理にかなっている」と分析する。演奏会ではなく、録音の道を選んだことも「簡単に音楽を入手し、再生できるようになる現代を予見していたのではないか」と指摘。青柳さんは「グールドの予想は当たり、ようやく時代が追いついてきた。その先見性が、今も輝き続ける理由のひとつかもしれませんね」と話している。

※2011年11月26日信濃毎日新聞夕刊、2011年11月30日岩手日報、2011年12月1日西日本新聞、2011年12月8日山陽新聞夕刊、2011年12月10日河北新報にも同じ記事が掲載されています。

グレン・グールド 未来のピアニスト
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