【推薦】「シューベルト=歌う作曲家」という表層のみにとどまることなく、深層をえぐった晩年の作品集。冒頭のロンドから、小手先の指さばきでは賄いきれない場所まで分け入って初めて辿り着ける境地が、諦観を漂わせつつ静かに語られる。それは共演の高橋悠治が、青柳とベクトルを同じくして共鳴し寄り添うからでもある。青柳の独奏による作品90の4つの即興曲では、一音一音を確かめるように紡ぐタッチを通して、作曲家の晩年の声を聴く思いである。連弾に戻っての幻想曲は、音楽は内面から湧き出でれば、それは自ずと流れをなすと示すかのようである。そして最後にどうしんをしみじみと回想した趣の「子供の行進曲」を以て、余韻を響かせて閉じるのである。(木村貴紀)
*CDランダム5枚*


CD関連記事 ランダム5件
- 【CD評】「花のアルバム」(intoxicate)
- シューベルトの手紙
- 【CD評】「ドビュッシーの神秘」レコード芸術 2012年10月号 評・濱田滋郎
- 【CD評】「花のアルバム」(レコード芸術 2022年2月号)
- 【CD評】「浮遊するワルツ」CDジャーナル 2004年2月号
Pick Up!
CDのご注文
サイン入りCDをご希望の方
ご希望の方には、青柳いづみこサイン入りのCDをお送り致します。
ご注文フォームに必要事項をご記入の上お申し込みください。
お支払い方法:郵便振替