【CD評】「シューベルトの手紙」(音楽現代2023年5月号)

【推薦】「シューベルト=歌う作曲家」という表層のみにとどまることなく、深層をえぐった晩年の作品集。冒頭のロンドから、小手先の指さばきでは賄いきれない場所まで分け入って初めて辿り着ける境地が、諦観を漂わせつつ静かに語られる。それは共演の高橋悠治が、青柳とベクトルを同じくして共鳴し寄り添うからでもある。青柳の独奏による作品90の4つの即興曲では、一音一音を確かめるように紡ぐタッチを通して、作曲家の晩年の声を聴く思いである。連弾に戻っての幻想曲は、音楽は内面から湧き出でれば、それは自ずと流れをなすと示すかのようである。そして最後にどうしんをしみじみと回想した趣の「子供の行進曲」を以て、余韻を響かせて閉じるのである。(木村貴紀)

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