フランス音楽マラソンコンサート

3月22日(土)、フランス音楽のセミナー20周年コンサートが無事終了した。

昼の部は12時半開場、13時開始。連弾を含む8組の出演だから、リハーサルも大変。調律終了後の11時から各組8分ずつの練習で、椅子をなおすだけで終わってしまいそうだ。

私は演奏前に各出演者と曲目の簡単な紹介をする。昼の部には、某大手銀行の取締役さんとか、大企業のエリート社員さんも出演している。私は皆さんの演奏を聴きながら、むずかしいところにさしかかると一生懸命応援したり、ハラハラしたり、無事通るとほっとしたり。自分が演奏するより疲れた(笑)。連弾は、フォーレの『ドリー』。2人とも小さな赤ちゃんを育てている姉妹の演奏で、「子守歌」がやさしく、やさしく弾かれた。

昼の部が終了したのが16時半。45分からはもう夜の部のリハーサルである。8分ずつ、18時の開場ぎりぎりまで練習がつづいた。

夜の部には遠距離組もいる。福岡在住のピアニストさんは、16歳でイギリスに渡り、音大を首席で卒業したあと帰国。4人の子育てに追われ、ようやく一段落したので活動を再スタートさせた。札幌在住の方は、くも膜下出血で一時は半身不随になったが、集中治療室で音楽を聴くうちにみるみる回復。コンサートでは、退院して最初に弾いたドビュッシー『月の光』を感動的に演奏した。

夜の部8組の演奏が終了したのは20時。出演者の人数ぶん心配した演奏だったが、各自持ち味を出して大きな事故もなく弾き終えた。レッスンは月に一回しかないわけで、それぞれ仕事や家庭の用事に追われる中で、よくここまで仕上げたと感心することしきりだった。

最後は私も連弾『小組曲』で出演。最初に各曲のタイトルを説明する。第1曲「小舟にて」は、貴族の男女が舟に乗り、恋のたわむれを楽しむ情景。ときどき舟がひどく揺れるのだが、船頭さんは見て見ぬふりをする。第2曲「行列」は着飾った貴婦人のご一行。長い裳裾をかかげるお小姓は、スカートの中を覗こうと、必要以上に高く持ち上げる。従者の肩に乗った猿は、デコルテの胸の谷間を覗きこむ。そんなユーモラスな内容だ。第3曲「メヌエット」は、若いころに作った歌曲「雅びなる宴」のメロディがそのまま使われている優雅な作品・・・。

演奏も楽しく弾きすすんだのだが、最後に落とし穴があった。終曲「バレエ」の締めくくりの和音、セコンドの私は派手に手を振り上げたのに、受講生のプリモさんは鍵盤に手を置いたまま。あっと思ったがもう遅い。客席から笑い声が漏れた。

教訓:4手連弾曲では、終わり方まで打ち合わせておこう。

投稿日:2014年3月22日

新メルド日記 ランダム5件

新メルド日記

MERDEとは?

「MERDE/メルド」は、フランス語で「糞ったれ」という意味です。このアクの強い下品な言葉を、フランス人は紳士淑女でさえ使います。「メルド」はまた、ここ一番という時に幸運をもたらしてくれる、縁起かつぎの言葉です。身の引きしまるような難関に立ち向かう時、「糞ったれ!」の強烈な一言が、絶大な勇気を与えてくれるのでしょう。
 ピアノと文筆の二つの世界で活動する青柳いづみこの日々は、「メルド!」と声をかけてほしい場面の連続です。読んでいただくうちに、青柳が「メルド!日記」と命名したことがお分かりいただけるかもしれません。

▶旧メルド日記

新MERDE日記 記事一覧

アーカイブ

Top