【関連記事】「文学キャバレ『黒猫』から生まれた音楽」ぶらあぼ 2012年9月号 インタビュー

知られざるドビュッシーの側面を明らかに

ドビュッシー生誕150年にあたる今年、さまざまな関連イベントが目白押しのなかで、ひときわ異彩を放つのがドビュッシー研究家・青柳いづみこの記念コンサートシリーズだ。演奏・執筆の両分野で活躍する彼女自身の意欲的な企画で、ドビュッシーと彼が通った文学キャバレ「黒猫」をキーワードとして、ドビュッシーの知られざる側面に光を当てる2夜となる。

第1夜(9/21)のテーマは、「サティ、シャブリエとドビュッシー」。
ピアノ作品を通じて作曲家同士の交流を浮かび上がらせていく。

「ドビュッシーの前奏曲集第2巻全曲と連弾曲『6つの古代墓碑銘』から4曲、サティ作品、そしてシャブリエの『楽しい行進曲』『ミュンヘンの想い出』といった雰囲気の違う連弾曲を組み合わせました。連弾では、指揮者としても活躍中で、共演者の良さを引き出す術に長けている田部井剛さんに共演していただく予定です。プログラムにはドビュッシーの『おもちゃ箱』の素材を音楽学者オーリッジが再構成した珍しい『象たちのトーマイ』も入れる予定で、この曲は8月25日リリース予定の私の新譜『ドビュッシーの神秘』にも収録しています」

 第2夜(9/28)は初期のドビュッシーに大きな影響を与えた独立芸術書房や「黒猫」ゆかりのピアノ曲や歌曲が披露される。

「独立芸術書房の書店主エドモン・バイイの『アパリシオン』(詩:マラルメ)は、ドビュッシーの同名の歌曲と比較して聴いていただければと思います。また『黒猫』の詩人仲間であるシャルル・クロの詩に基づく『弓』の日本初演など、当時のドビュッシーをとりまく芸術家、文学者たちの珍しい曲を聴いていただく貴重な機会になると思います」

共演歌手2人にも注目である。「吉原圭子さんはテクニックの面でもとても優れたソプラノで、今回のレパートリーにぴったりの独特の雰囲気をお持ちなので楽しみです。またこれまで何度も共演している根岸一郎さんは、アイロニー、狼雑さなどの表現が非常に素晴らしいバリトンです。今回は『黒猫』の2階で上映されたアンリ・リヴィエールの影絵芝居『星への歩み』(制作:東京芸大音楽環境創造科)を特別上映しますので、当時の雰囲気をよりいっそう実感していただけると思います。ドビュッシーについてお上品なイメージをお持ちの方が多いかもしれませんが、2夜を通じて、身近で親しみの持てるような、ちょっと下町風とでも言えるようなドビュッシーの一面も楽しんでいただければ嬉しいです」

文学キャバレ『黒猫』から生まれた音楽
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