ドビュッシーを筆頭に、19世紀末フランスの芸術家たちが交わり、狸雑(わいざつ)な空気のなかで想像の翼を広げあっていた時代を紹介する演奏会「『黒猫』詩人たちとドビュッシー」が28日午後7時、東京・築地の浜離宮朝日ホールで開かれる。ドビュッシー生誕150年記念に、ピアニストの青柳いづみこが 企画した。
「黒猫」はモンマルトル郊外にあった居酒屋。まだ若く貧しかったドビュッシーが足しげく通い、ベルレーヌやランボーに影響を受けるに至ったことでも知られる。この日は、ドビュッシーが入り浸り、自らの譜面も出版した書店「独立芸術書房」で得た人脈から世に出た作品も演奏。売れっ子画家が描いた雑誌の挿絵を見たり、旬の芸術についてのうわさ話に耳をそばだてたり。こうして時代の最先端の息吹をわがものにし、ドビュッシーは出世作「牧神の午後への前 奏曲」などを生み出してゆく。
東京芸大音楽環境創造科が復元した、画家アンリ・リビエールの影絵芝居も上演される。多種多様な異才がにぎやかに集っていた当時のパリの空気を、音と視覚で体感させる趣向だ。