ドビュッシー弾きの名手が軽快な筆致で綴るピアニスト人生
著者は日本を代表するドビュッシー弾きだが、クラシック界でも抜群の筆達者。本書の音楽的関心の中心にあるのはやはりドビュッシーだが、マーラー、シューベルトなど、ドイツ系作曲家を一風変わったアングルから解剖したエッセイも切れ味鋭い。それ以上に面白いのが、後半の歯に衣着せぬピアニスト人生をめぐる様々な文章である。音大の「ピアノ科のピアノに未来はない」なんてことをさらりと言ってのけるのですから。
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