【関連記事】「至福のデュオ フランス音楽の夕べ」音楽の友 2011年9月号 インタビュー

―ジョヴァニネッティ氏とはいつから共演されていますか。また氏の演奏についてお話し下さい。
マルセイユ音楽院時代、1976年から共演しています。当時は「神童」で、天上の音楽でしたが、今は大分人間臭くなりました。昔なつかしい感じの音で、ロマ・ヴァイオリンのような即興性があり、しなやかな歌が魅力です。

―今回の「オール・フランス・プロ」、そのコンセプトはどのようなものですか。
バルビゼに仕込まれたフォーレをメインに考えました。プーランクはジョヴァニネッティ特有のユーモアとぺーソスが発揮されます。6人組からタイユフェールを入れました。ツィガーヌはジョヴァニネッティの即興性にぴったりの演目です。

―バルビゼ氏からもっとも影響を受けたことは何でしょう?
フランス音楽の「美食趣味」を教えられました。「間」、響きの変化。おいしいご馳走を食べるように「舌なめずりして」弾くんだよと言われました。実際に踊ったり、オーケストラの真似をしたり臨場感溢れるレッスンでした。

―今回のプログラムとバルビゼ氏との関連についてお話し頂けますか。
東京で弾くフォーレはフェラス=バルビゼの十八番でした。札幌(20日)、名古屋(21日)公演で弾くベートーヴェン《春》も名演が残っています。ヴァイオリンの引き立て方、タッチやベダルのコントロールなど仕込まれました。

―今回の演奏会の聴きどころはどんなところでしょうか?
演奏するたびに「二人が一人のようだ!」と言われます。呼吸、流れ、音楽の組み立てすべてが融合し、至福のアンサンブルを生み出すのが目標です。うまくいくと「ゾーン」にはいる・ので、ご協力よろしくお願い致します。

―音楽以外でいま夢中になっていること何ですか?
音楽で頭がいっぱいです(笑)。今はまっているのはリストの歌曲です。ピアノ曲のルーツが歌曲なので、両方を演奏するコンサート(12月2日)を企画し、ディースカウ聴バレンボイムの名盤を聴きまくっています。7月に『グレン・グールド未来のピアニスト』を筑摩書房から刊行しました。ライヴ録音を中心に従来のグールド像をくつがえす書です。執筆・のきっかけになった吉田秀和氏から「稀代の名著」とのお言葉もいただきました。

―ありがとうございました。

至福のデュオ フランス音楽の夕べ
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