【コンサート評】「ピアニストが見たピアニスト」出版記念リサイタル ムジカノーヴァ 2005年11月号 文・伴玲児

文筆家としても活躍している青柳いづみこのリサイタルを聴く。前半はラモーの「クラヴサン曲集」より抜粋。後半はドビュッシーの「前奏曲集第2集」全曲というもの。このプログラミングが、ある意味で青柳のフランス音楽への深い傾倒と愛情、そして日本で有数のフランス音楽の研究者としての研究の発露とも言うべきものであろう。作曲家のセレクションにも明確なコンセプトが存在していたようである。

前半、青柳は数曲単位で演奏の合間にみずから曲目解説を行っていた。その解説自体が彼女のフランス音楽への造詣の深さを物語っていた。フランス音楽の伝統と文化の流れがあり、当然ドビュッシーもその文化を吸収して自らの作品に投影しているわけだが、その具体例として、ラモーのさまざまな装飾様式とドビッシーの作品との関連について語ってくれた。

非常に説得力があり、後半のドビュッシーの作品もいつもとは違った観点から聴くことができた。
前半のラモーは、非常に自然な装飾音の表情と華美に歌わず、淡々としているにもかかわらず、豊かな表情とユーモアを兼ね備えた演奏で好感が持てた。曲目解説で見せる青柳の自然体の語り口と呼応するものだった。後半のドビュッシーも技巧に走りすぎず、ドビュッシー特有の響きの美しさが際立つ演奏だった。
(9月16日 浜離宮朝日ホール)

『ピアニストが見たピアニスト』出版記念リサイタル
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