青柳いづみこ、ドビュッシーを読み解く公演
ピアニスト青柳いづみこが今年、ドビュッシーを解析するシリーズ公演をする。20日を皮切りに計4回。「亜麻色の髪の乙女」などロマンチックな小品で知られるドビュッシーだが「オカルト好きといった隠れた内面にも迫りたい」。
88年、ドビュッシーに迫る最初のシリーズ公演を開いた。「当時はマーラーやサティがブーム。ドビュッシーなんてしょせん気軽な箸(はし)休め、って思われてた」
青柳はそんな偏見を、19世紀末の欧州の文化状況を絡めて読み解くことで取り払おうとした。美術では遠近法が行き詰まり、音楽でも和声法の秩序が崩壊の一途。そういう時代にドビュッシーはパリ万博でジャワ音楽に出会い、東洋思想にはまっていく。
手紙には「私の中にあるすべてのものは説明不可能」「自分自身を制御することができない」と書き、ついには小節線の枠を超えてしまう。「無意識を音楽で描く試行錯誤を続け、自在な境地に達した」と言う。
「細胞分裂し、抽象化していく個性は、もはや『印象派』という枠組みだけでは語れない。東西文化の交流が産み落とした異才の全体像をとらえ直すきっかけにしたい」
彼が愛したクープランや、ドビュッシーの影響を受けた武満徹もとりあげる。20日は午後2時。出演は青柳とバイオリンのジェラール・プーレ。東京・築地の浜離宮朝日ホール。続く公演は5月24日、7月5日、9月27日。日本アーティスト(03・3944・9999)。