フランス音楽、とくにドビュッシー演奏のエキスパート。一方は、現代音楽をリードし続けたサティ演奏の先駆者。この2人が奏でるサティが面白からぬはずがない。アルバム前半は独奏曲。青柳いづみこが、陰影も豊かに「3つのグノシエンヌ」を滑らかに奏でれば、ぶっきらぼうな調子で「冷たい小品」を淡々と弾く高橋悠治。こんなスタイルが異なる2人の連弾作品は最高だ。とりわけ「梨の形をした3つの小品」の端々から匂ってくる不穏な詩情がたまらない。「風変わりな美女」では、奔放な高橋を青柳がしっかりフォローしつつ、もっとやれと背中を押しているよう。
文:鈴木淳史




