【CD評】「シューベルトの手紙」(ぶらあぼ 2023年4月号)

本盤にはシューベルトが31年という短い生涯で遺した1000曲以上の作品の中から「ロンド」や「アレグレット」など演奏機会の少ないものも含め、晩年の独奏曲と連弾曲が収録されている。まず耳を奪われるのは青柳いづみこの美しい音色と細やかなニュアンスが魅力的な「4つの即興曲」D899。一つひとつの音のデリケートな扱いはフランスものを得意とする彼女ならでは。高橋悠治との連弾による「幻想曲 ヘ短調」D940も注目のトラック。音色、スタイルの対照的な二人の音楽が絶妙なアンサンブルのやりとりで見事に調和していく。ベヒシュタインのピアノの音色も全編を通して魅力的な響きを聴かせてくれる。
文:長井進之介

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