【書評】「ピアニストは指先で考える」レッスンの友 2007年8月号

ピアニストであり文筆家としても活躍する青柳いづみこのエッセイ集である。かつてムジカノーヴァ誌で連載したものに、読売新聞などに書いたコラムを加えてまとめられている。

内容は、ピアニストの身体、レガートとスタッカート、楽譜に忠実?、教えることと教わること、コンサートとレコーディング、ピアニストと旅、演奏の未来、の7章に分けて書かれている。

どの章もまじめなテーマである。たとえば、「曲げた指とのばした指」の項では、弾き方の長所短所、有名なピアニストたちがどうなのか、「絶対音感」の項では、これまでの音感教育のやりかたや絶対音感と相対音感との違い、ソルフェージュについてなど、また「初見と暗譜」の項では、そのやり方や覚えかた、一流のピアニスト達はどうしているのか・・・といったことなど、ピアノを弾く人たちだけではなく、ピアノやピアニストに興味のある人なら、間違いなく興味を抱く内容であろう。

それぞれのテーマが、読み切りエッセイの形で書かれているので、興味を引いたところから読めるし、しかも青柳一流の筆法で書かれているので、とても楽しく、知らず知らずのうちに引き込まれていく。さすがに文筆家である。どなたにもお勧めしたい一冊である。

ピアニストは指先で考える(単行本)
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