【コンサート評】「至福のデュオ フランス音楽の夕べ」音楽現代 2011年12月号 評・家永勝

冒頭はタイユフェールのVnとPのためのソナチネ。Vnは甘い艶のある音色。共に自己主張をする所から面白い音楽が生まれており作品特有のしゃれた味を伝える。

Pのソロのプーランク「フランス組曲クロード・ジェルヴェーズによる」は1曲ごとの短い曲の個性をプーランクの秘めたる精神と共に表出。独自の世界へと導く。プーランクのVnとPのソナタは、フランス的な旋律を高らかに表現し、第2楽章ではPの強い主張をVnが受けて立ち、第3楽章も2楽器が主張をぶつけ合い日本人の持っていない感覚を大きく表出したのに魅力を感じる。すごい高揚感があり、この作品の極地と思えた。

フォーレのVnとPのソナタ第1番op13の第1楽章はPが素敵なパッセージを聴かせ、第2楽章は色彩感ある中に歌心たっぷり。第3楽章は2楽器の流暢な語りが面白く、第4楽章では独得のPのパッセージの上にVnを存分に歌わせる。見事なソナタの構築力。2人の音楽のやり取りは実に聴き応えあった。

9月27日 浜離宮朝日ホール

至福のデュオ フランス音楽の夕べ
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