【コンサート評】「至福のデュオ フランス音楽の夕べ」音楽現代 2011年11月号 評・八木幸三

プーランク、ラヴェルの夢幻的な楽想を情感溢れるヴァイオリンで聴かせたのは、元イザイ弦楽四重奏団の第ーヴァイオリン奏者C・ジョヴァニネッティ。彼の年輪から生まれる深遠な響きは、特にプーランクのソナタで真骨頂を発揮した。この曲は、スペインの詩人ロルカの想い出を劇的に綴っている。情念のこもった激しい楽想と哀愁をおびたメランコリーな旋律が交差する第1楽章が聴き手に迫り、内省的な第2楽章は、琴線に染みいる清水のごとく心を浄化させた。

共演は、執筆家としても活躍がめざましいピアニストの青柳いづみこ。彼女とジョヴァニネッティとは、マルセイユ音楽院での同窓。二人の息のあった間合いは、第3楽章の楽しげな曲想から一転、突然の悲劇的な終焉までを見事に描ききった。

ラヴェル「ツィガーヌ」も味わいのある超絶技巧を披露。前半のシューベルト「ソナチネ」やベートーヴェン「ソナタ第5番」は、「大人の青春」を感じさせた。

9月20日、札幌ザ・ルーテルホール

至福のデュオ フランス音楽の夕べ
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