【関連記事】「音楽になったエドガー・アラン・ポー ドビュッシー〈アッシャー家の崩壊〉をめぐって」音楽の友 2009年9月号 インタビュー

ピアニストの青柳いづみこが、エドガー・アラン・ポーの怪奇小説を原作としたドビュッシーの未完のオペラ『アッシャー家の崩壊』を中心とする演奏会をひらく。青柳は、フランス文学者である祖父の影響を受けて、小さいころからポーが大好きだった。そんなポーをドビュッシーが好きだったと知ってうれしかったという。彼女は東京芸大大学院の博士論文でドビュッシーの『アッシャー家の崩壊』を取り上げた。そして今回、ポーの生誕200年を記念して、その演奏会の企画、構成、制作、そしてピアノ演奏をつとめる。 「マラルメをはじめとする象徴派の詩人たちは、ポーの怪奇小説に夢中でした。ドビュッシーも『アッシャー家の崩壊』が好きで、それにもとづくシンフォニーを書こうとしていました(注:しかし痕跡は残っていない)。19世紀末のパリは、暗くて不可解な、フランスらしくないものが流行っていました。ボードレールがポーを高く評価し、心酔していました。ポーは本国(注:アメリカ)以上にフランスで好まれていたのです」

オペラ『アッシャー家の崩壊』は、ポーの小説をもとにドビュッシー自身が台本を書いた意欲作だ。しかし、完成されることはなかった。「ポーの怪奇幻想の世界を音楽化するのはドビュッシーでも語法的 にむずかしかったのでしょう。ワーグナーから抜けきれないジレンマや自己批判もありました」

今回の上演は、2006年に出版された新全集版にもとづく。楽譜になっている部分は23分ほどで、音楽の残っていないところは台本の朗読で補う。全体で30分ぐらいになるという。4人の歌手が登場し、青柳がピアノ伴奏をおこなう。演奏会の前半には、オペラ『アッシャー家の崩壊』と主題を共有する『弦楽四重奏曲』や「水の精」「カノープ」「カスタネットの踊り子」なども演奏される。「一般的なドビュッシーの印象とは違う、デカダン的なものを彼が持っていたことを知っていただければと思います」

取材 文・山田治生/写真・竹原伸治

ドビュッシー〈アッシャー家の崩壊〉をめぐって
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