青柳いづみこさん演奏活動40年&執筆活動30年
新たな地平線を追って
来月11日、東京・築地で記念公演
文筆家としても活躍するピアニストの青柳いづみこさんが、演奏活動40周年を記念したコンサートを来年1月11日、東京・築地の浜離宮朝日ホールで開催する。来年は、初の著書刊行から30周年にも当たる。これまでの歩みについて尋ねた。(樋口薫)
青柳さんのデビュー公演は、ちょうど四十年前の一月十一日。「無印のままフランス留学から帰国し、最初で最後の演奏会になる予定だった」。しかし新聞のコンサート評で絶賛され、活動を継続。音楽雑誌などにコラムを執筆しながら、一九八三年には東京芸大の博士課程に進学、ドビュッシー研究を深めた。
仏文学者の青柳瑞穂を祖父に持ち、十代のころからマラルメやジードなどの文学に親しんだ。そうした文人らとドビュッシーの交流を知り「自分にしかできない仕事」と見定めた。「『印象派の優美な音楽』というのがドビュッシーの一般的な認識。もう少し深く、哲学的な意味を伝えたい」と奮闘してきた。
九〇年に初のエッセー集を刊行して以降、執筆活動にも注力。今年十一月には、二十代〜三十代前半の音楽家十人との対談集『音楽で生きていく!』(アルテスパブリッシング)も刊行。「自分で道を切りひらいている人ばかり。守りに入っていない姿が頼もしかつた」
記念公演は二部構成。「四十年を振り返る意味で『物語』をテーマにした」という昼の部(午後二時開演)はサティ、クープラン、ラヴェルなどを演奏。夜の部(午後七時)は、今関心を抱いているという「フランス六人組」の作品を、作曲家・ピアニストの高橋悠治さんとの連弾で届ける。
「昨年、ピリオド楽器(古楽器)のショパンコンクールを視察し、全く新しい地平線が見えた気がした。今後も自分にしか見えないものを追って、弾き続け、書き続けたい」と意気込んだ。
公演の問い合わせは東京コンサーツ=電03(3200)9755=へ
(平日午前十時〜午後六時)。