「型通りのインタビューにならないように心掛けた」と話す青柳いづみこ
文筆家としても活躍するピアニストの青柳いづみこが、20〜30代の音楽家との対談集「音楽で生きていく!」(アルテスパブリッシング)を刊行した。クラシック音楽家のキャリア設計がテーマで「音楽家を目指す人たちが指針にしてくれたらうれしい」と話す。
メゾソプラノの脇園彩やバイオリンの佐藤俊介、三弦の本條秀慈郎ら、国内外で活躍する10人が登場。生い立ちから現在に至るまで、キャリアを築いた過程や背景を聞き出し、成功の鍵を探る。
コンクール優勝後の葛藤、思いを形にしていく発想や行動力−。それぞれの経験や実践は示唆に富み、後進へのメッセージは説得力がある。「(仕事が)降ってくるのを待つのではなく、自分で道を切り開いてきた人たち。守りに入っていない姿が頼もしく、将来も楽しみ」と目を細める。
自身は2020年に演奏活動40周年を迎え、今後は、ライフワークとしてきたフランスの作田家ドビュッシーを礎に、プーランクら20世紀前半にパリで活躍した作曲家集団「フランス6人組」やショパンを弾いていきたいという。「18年にピリオド楽器(古楽器)のショパンコンクールを取材して、自分のショパンの演奏に対するコンプレックスがほどけました」