恩師 安川加壽子を思い
ピアニストで文筆家の青柳いづみこがCDと著作の発売を記念し、東京都渋谷区のハクジュホールで24日、昼夜で異なるプログラムの演奏会を開く。
昼公演は、今年で生誕100年を迎えた恩師の安川加壽子(1922〜1966年)に思いをはせるプログラム。4月に開催された門下生による記念演奏会では、本公演前のプレコンサートで安川の孫弟子にあたる子どもたちが、当時の門下生発表会の一部を再現した。その選曲を手がけ、楽譜を取り寄せているうちに「自分でも弾きたくなった」ことから、自身の演奏会で披露することを決めたという。
古典版などのドイツ音楽が主流だった50〜60年代の日本。パリで育った安川は、ほぼ同時代を生きた近現代のフランス人作曲家による作品と、クープランやリュリといったフレンチバロックなどを教え子たちに演奏曲として与えていたという。青柳は「かわいい曲がいっぱいある。当時も斬新だったが、今見てもめちゃくちゃ斬新なプログラム。素晴らしい組み合わせだった」と語る。10月には当時の発表会での演奏曲を収録したCD「昔の歌」を発表する。
夜公演では、高橋悠治をゲストに迎え、それぞれの独奏や4手連弾を演奏する。コンセプトは「遊び」。10月から当面、活動休止に入る高橋はピアソラを独奏。生演奏に触れられる貴重な機会となる。これまでも高橋との共演を重ねてきた青柳は「計算ができないので、いつもスリリング。バトルしているように見えることも多いので、お客さんからは『今日は仲よさそうだったわね』と声をかけられることもある。今回もどんなステージになるか分かりません」。巨匠たちを紹介する著書「ヴィンテージ・ピアニストの魅力」を9月下旬に刊行し、高橋も登場する。(須藤唯哉)