【コンサート評】「至福のデュオ フランス音楽の夕べ」音楽の友 2011年11月号 評・伊藤制子

まだ本格的にデュオを組んで日が浅いというのに、まるで熟成された往年の名デュオのような香り高い演奏に驚いた。

フランスのヴァイオリン秦者ジョヴァニネッティは、柔らかくしなやかな音色をもち、品格ある音楽づくりが持ち味。ピアノはフランス音楽の様式を知り尽くした青柳で、2人の出会いは学生時代にまでさかのぼるという。

ブーランク「ヴァイオリン・ソナタ」でみせた華やぎとユーモアは、ともにフランス音楽の伝統を分かち合っているからこそ生まれたものだろう。青柳のソロによるプーランク《フランス組曲》にも軽やかなエスプリが感じられ、小気味よい。

後半は、フォーレの名曲「ヴァイオリン・ソナタ第1番」とラヴェルの(ツィガーヌ)。さざ波のような起伏ある若々しいフォーレを楽しめたし、ラヴェルの秘めた情熱の表現も見事だった。アンコールは3曲。中でも震災の追悼として弾かれたラヴェル《カディッシュ》、震災からの復興と希望を託したベートーヴェン「ソナタ《春》」がぐっと心に染み入った。

9月27日 浜離宮朝日ホール

至福のデュオ フランス音楽の夕べ
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