【コンサート評】青柳いづみこ CD・書籍刊行記念コンサート(音楽の友 2022年12月号)

ピエルネ《子供の遊び》から3曲、クルターク《遊び》から3曲、モンポウ《3つの遊び歌》、ビゼー「小組曲《子供の遊び》」から4曲、ピアソラ「ピアノのための3つの前奏曲」から〈フローラのためのゲーム〉、ドビュッシー(ロケ編)《おもちゃ箱》から<遊戯>、他

青柳いづみこが最新刊『ヴィンテージ・ピアニストの魅力』発刊記念として同書に採り上げたピアニストの一人、高橋悠治を協演者に招き、連弾と各人のソロを組み合わせたコンサートを開催した。テーマは「遊び」。いわれてみれば、ピアノ楽曲には独奏曲にも連弾作品にも「遊び」を扱ったものが多い。それらを丁寧に発掘して種々取り揃え、同じタイトルでも作曲家によって異なる曲想、表現となることを鮮やかに実証してみせるあたりに、プロデューサーとしての青柳の手腕が光る。連弾で感じたのは、青柳、高橋という大ヴェテランの以心伝心ぶりだ。二人は言葉で確認し合わずとも心と心で伝わり合話う。88鍵しかない狭い鍵盤を仲よく分け、相手が自己領域に進出すればさっと身を引いて瞬時に空間を譲る見事なチームワークは至芸の域であり、高次の遊びでもあった。青柳のソロ曲はピエルネ 《子供の遊び》3曲。弾力性に富んだしなやかなタッチの駆使された演奏は、石けり、ぶらんこ、かくれんぼの情景を彷彿とさせる。高橋のソロ曲はクルタークとピアソラ。高橋が椅子に腰を落とすや、次の瞬間ピアノが歌い出し、あっというまにその作曲家のカラーにホールが染まる。このような達人をやすやすとパートナーに迎える青柳の人間力に感嘆しきり。
(萩谷由喜子)

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