【コンサート評】「島崎藤村が聴いたドビュッシー」音楽の友 2014年12月号 評・伊藤制子

ドビュッシー没後100年の2018年に向けて、ピアニスト・青柳いづみこが企画した晩年をたどるコンサート。今回は「島崎藤村が聴いたドビュッシー」の2回シリーズで第1夜の21日公演を聴いた。

1914年のパリの作曲・演奏活動がテーマの回で、前半ではメゾの波多野睦美を迎えた《ビリティスの歌》に注目。鈴木信太郎訳が語られるなか、本田聖嗣との四手連弾で幽玄かつ雅な世界が表現された。後半は子供のためのパレ工《おもちゃ箱》がやはり波多野の語り、そしてアンドレ・エレの原画にもとづく映像(あおやまあきら制作)の動画付きで上演されるという面白い試みを堪能。都会的な色彩と独特の美意識のある映像が、おもちゃ箱から抜け出た人形たちの物語をさらに盛り立てた。1913年に島崎藤村も観たバレエ《牧神の午後への前奏曲》を二ジンスキーのモノクロ写真を映しながら四手連弾版で披露したのも粋な計らい。パリでの藤村がそうであったように、当夜の聴衆も、五感を大いに刺激された一夜であった。(10月21日 Hakuju Hall)

島崎藤村が聴いたドビュッシー
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