時の流れと色彩に焦点をあてた青柳いづみこのドビュッシー
タイトルは、ドビュッシーの言葉「私は、ますます音楽というのは色彩と律動づけられた時間だと思うようになった」(1907年)からとられています。『ペレアスとメリザンド』を作曲中に憧れの人イヴォンヌ・ルロールに捧げた『忘れられた映像』からして、寄せては返す波のように大きくルバートさせるドビュッシー特有の手法がみられます。『版画』は『ペレアス』を初演後のドビュッシーが初めて本格的にとりくんだピアノ曲です。「グラナダの夕」には作曲者自身の録音が残っており、しなやかなリズムがきわだっています。しかし、「色彩と律動づけられた時間」がもっとも純粋な形で結晶したのは、やはり最晩年の『12の練習曲』でしょう。あるときはユーモアたっぷり、あるときは夢限的に、またあるときは躍動感にあふれ、青柳いづみこの繊細な指先はドビュッシーの精神をあますところなく描き出しています。
エリック・ハイドシェックがアルバムを一聴して「これは事件だ!」と興奮して青柳に電話してきたことをつけ加えておきましょう。
曲目
『忘れられた映像』より
ゆっくりと
「もう森へ行かない」による諸相―なぜなら、お天気がとても悪いから
版画
パゴダ
グラナダの夕
雨の庭
12の練習曲
I.5本指のための(チェルニ-氏に倣って)
II .3度のための
III .4度のための
IV .6度のための
V .8度のための
VI .8本指のための
VII .半音階のための
VIII .装飾音のための
IX .反復音のための
X .対比音のための
XI .アルペッジョのための
XII.和音のための
演奏 | 青柳いづみこ(ピアノ) |
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録音 | 2007年7月19日~21日、9月17日 三重県総合文化センター |
使用楽器 | スタンウェイ |
発売日 | 2008年3月20日 |
発売元 | カメラータ・トウキョウ |
レーベル | CAMERATA |
価格 | 本体2800円+税 |
CD番号 | CMCD-28160 |