【インタビュー】「連弾とソロで探るドビュッシーとその周辺」(ぶらあぼ2016年10月号)

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取材・文.伊藤制子

青柳いづみこが2014年からすすめているドビュッシー没後100年に向けたカウントダウン・シリーズ。今年は『ドビュッシーを巡る新しい潮流』として「1916年」がテーマだ。ドビュッシーに加えて、サティ、ストラヴィンスキー、ラヴェルなどの作品をとりあげる。ここ2、3年共演している高橋悠治との連弾、そしてソ口もあるという豪華なプログラムである。

「1916年という年は、ドビュッシーは病のために作曲できませんでしたので、彼自身が関心をもっていた作曲家の作品を中心に構成してみました。とくに気になっていたのは、ストラヴィンスキーだったと思います。伝統的な書法を重んじるパリ音楽院で学び、前衛的すぎると批判されたドビュッシーですが、そんな彼にとってもストラヴィンスキーの音楽はまさに衝撃的で、革新的なものだったようです」

プログラムの中心は『春の祭典』 (1913年初演)。高橋との連弾で披露する。作曲家・ピアニストとして活躍中の高橋だが、若い頃オペラのコレベティとして活動した経験があり、あのイタリア歌劇団来日でも裏方で奮闘したという。

「悠治さんはすでに弾かれたことがある『春の祭典』ですが、私は初めてなので、いろいろ教えていただいています。変拍子で有名ですが、数えて合わせるのではなく、リズムが増えていく感じをうまく出せればと思います。オーケストラ版でのそれぞれの声部や、管楽器の音色を弾き分けることも必要になってきますね」

ドビュッシー作品では「聖セパスチャンの殉教』(力プレ編):を青柳がソ口で演奏する。

「『春の祭典』と同じく異教をテーマにした音楽ですが、ドビュッシーのほうは洗練された響きが魅力です。つづけて演奏するので、作風の違いに注目していただけると嬢しいです」

フランス六人組が共作した診しい『六人組のアルバム』は、高橋が弾く。実は彼は子供の頃、このアルバムの中から数曲を弾いたことがあったという。

「悠治さんは弾き方がユニークで、魔法のような音を出すピアニストです。普通の弾き手同士のような予定調和がなく、共演はとても刺激的です。椅子がとても低いのですが、腕がしばしば交差する連弾にはその高低差が好都合ですね。サティの『バラード』 、そしてラヴェルの『マ・メール・ロワ』での共演も楽しみにしています」

このコンサートと同時期に、2015年ワルシャワでの取材を元にした書籍『ショパン・コンクール最高峰の舞台を読み解く』(中公新書)、さらには高橋との初めての共演によるディスク『大田黒元雄のピアノ~ 100年の余韻~』(コジマ録音)も発売されるという。こちらも楽しみだ。

—–CONCERT INFO—–

ドビュッシーをめぐる続しい潮流〈1916年〉
青柳いづみこ(ピアノ/トーク)高橋悠治(ピアノ)
10月15日 (土) 14:00 Hakuju Hall
問い合わせ:東京コンサーツ 03-3200-9755 http://www.tokyo-concerts.co.jp

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