CDリリース記念ピアノ・リサイタル「浮遊するワルツ」

プログラムについて

CDリリース記念ピアノ・リサイタル「浮遊するワルツ」

 コンサートは、シューベルトの『高雅なワルツ』でスタートします。友人たちとの楽しいひとときのために作曲された15のワルツで、それをワルツの鎖でつないだのは、バルトークの盟友ドホナーニでした。

 次の曲、ラヴェル『高雅で感傷的なワルツ』への移行は、ちょっとしたサプライズです。リズムはシューベルトそっくりだが、色彩感はまぎれもなくラヴェルだからです。

ウィンナワルツへの憧憬、永遠に失われてしまった時間へのノスタルジーがないまぜになった耽美的な世界です。

 前半の最後は、小粒だけどぴりっと辛いリストの『忘れられたワルツ第1番』。そして、ゲーテのファウストに取材した『メフィスト・ワルツ第1番』です。
 後半の第1曲は、ラヴェルのパロディとして書かれたサティ『嫌らしい気取り屋の3つの高雅なワルツ』をナレーションつきで。東京公演では、元NHKアナウンサーで作家・エッセイストとして活躍中の下重暁子氏(東京)、大阪公演ではさまざまな評論でブレイク中の国際日本文化センター教授、井上章一氏(大阪)をナレーションにお迎えします。サティ独特の皮肉たっぷりの台詞が音楽とどうからむか、興味深々です。

 ついで、青柳いづみこが専門に研究するドビュッシー『ロマンティックなワルツ』と、いかにも世紀末デカダン風のしなだれかかるような『レントよりなお遅く』が演奏されます。

 最後は、ウィンナ・ワルツ全盛のウィーンに滞在しながら、自らのワルツを「踊るためではない」芸術的なワルツと位置づけたショパンのワルツ6曲です。
 演奏後は、ナレーションを担当される下重暁子(東京)、井上章一(大阪)各氏と青柳のミニ・トークも予定されております。ワルツについての青柳の熱き思いが語られることと思います。こちらも併せてお楽しみ下さい。

プログラム

第1部
シューベルト  高雅なワルツ
ラヴェル 高雅で感傷的なワルツ
リスト 忘れられたワルツ第1番
メフィスト・ワルツ第1番

第2部
サティ  嫌らしい気取り屋の3つの高雅なワルツ
*ナレーション  下重暁子(東京)井上章一(大阪)
ドビュッシー レントよりなお遅く
ロマンティックなワルツ
ショパン 6つのワルツ

【東京公演】

日時 2003年11月16日(木)14:00開演
会場 浜離宮朝日ホール
入場料  全席自由 ¥3,500
主催 朝日新聞社

【大阪公演】

日時 2003年11月29日(土)14:00開演
会場 ザ・フェニックスホール
入場料  全席自由一般¥3,500/学生¥3,000
主催  大阪音楽大学

ナレーター・プロフィール

下重暁子 エッセイスト・作家
早稲田大学卒業後NHKに入社、アナウンサーとして活躍。退局後民法キャスターを経てフリーとなり、文筆活動にはいる。エッセイ、評論、ノンフィクションなど多岐にわたる。著書は『純愛-エセルと陸奥廣吉』(講談社)、『不良老人のすすめ』(大和出版)『シンプルのすすめ』(あさ出版)など60冊近くある。2003年8月、『鋼の女 最後の瞽女・小林ハル』が集英社文庫で復刊される。趣味はオペラを歌うこと。

井上章一 国際日本文化センター教授
京都大学工学部建築学科卒業。同大学院修士課程修了。専攻は風俗史、意匠論。1986年、『つくられた桂離宮神話』(弘文堂)でサントリー学芸賞。1998年、『南蛮幻想』(文藝春秋)で芸術選奨文部大臣賞。著書に『霊柩車の誕生』(朝日選書)、『美人論』(朝日文庫)など。近著『パンツが見える。-羞恥心の文化史』(朝日選書)は、新聞・雑誌等で大きな話題を呼んだ。趣味はジャズ・ピアノを弾くこと。

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