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2004年1月20日/大変なんです!! MERDE日記の愛読者の皆さん、明けましておめでとうございます。 ・・・という書き出しでいこうと思っていたのに、2004年が始まってもう3週間 もたってしまった。 今年は、書くのが忙しい年になりそうです。って、もうなってるけど。 みすず書房の「大人の本棚」シリーズで亡祖父青柳瑞穂のエッセイ集を出してくれる ことになり、編集部から原稿選びと解説書きを依頼された。晩年のエッセイ集『壺のあ る風景』を中心に、関連の骨董随筆を少し加え、絶筆となった雑誌太陽の連載『骨董夜 話』でしめくくるという内容。 原稿選びの締め切りは1月15 日。編集者と話しあいの結果、巻頭言のようにして 『 閑』というコラムを掲載することになった。汽車に乗っても雑誌などを読んで時間をま ぎらわせるのではなく、一見ぼーっと車窓を眺めている瑞穂。何しないでぼんやりして いるときが一番好きだ、と主張する。少しでも空き時間ができると何かしなくては気の すまないワーカーホリックの私には、一番苦手な過ごし方だ。 解説は、「青柳瑞穂は見る人であった」という書き出しで、骨董のみならず人間に対 しても観察者、鑑賞者、ときに覗き見の大家だった瑞穂像を展開していこうと思ってい る。 タイトルは『骨董のある風景』(ちょっと安易ですね、私がつけたんじゃありません )。解説の締め切りは2月27日、本の刊行は4月20日。 ちょうどタイムリーなことに、2月20日から7月14日(パリ祭!)まで、杉並区の中央図書館で「井伏鱒二と青柳瑞穂展」が開催される。フランス文学者、エッセイス ト、骨董蒐集家、井伏や太宰を中心とする阿佐ヶ谷会に会場を提供していた人物・・・ という風に多方面から光を当てるとのこと。昨年暮れは、資料選び、写真選びで忙殺された。図書館で所蔵している資料のリストをFAXしてもらい、足りないものは自宅の 本棚で探す。 自筆原稿も少し出てきたので、コピーを展示することにした。糖尿病で慶応病院に入院し、退院するというとき、同室の患者さんたちへの送別の辞として書いた詩がなかな か面白い。 これまたタイムリーなことに、慶応の三田杉並会というところから、読書会と音楽サロン合同のトーク・コンサートを依頼された。幹事の方が旧著『青柳瑞穂の生涯』を読んで下さったのがきっかけだ。祖父は慶応と縁が深く、亡くなるまでフランス語の講師をつとめていた上に、早慶戦のときなどに歌われる慶応の応援歌『丘の上』の作詞者なのだ。 期日は3月6日。会場は、杉並中央図書館のすぐ近くの50人ほどのホール。ショパンの愛したピアノ、プレイエルが置いてある。 開演前に図書館の展示を見ていただき、コンサートでは、「フランスと日本のサロン」をテーマに、19世紀末のサロンと日本のサロン「阿佐ヶ谷会」のことをおしゃべりしながら、クープランやラモーのクラヴサン曲、ショパンやドビュッシーのピアノ曲を弾くという趣向。 3月14日には、銀座のヤマハ店でCDキャンペーンのミニ・ライブもある。昨年11月にリリースした『浮遊するワルツ』はとても評判がよく、朝日・読売・日経に批評が出たし、『レコード芸術』でも5枚連続の特選盤。シューベルトやショパンなど、十八番ではない作曲家のものも沢山弾いていたので、これは嬉しかった。 5月15日には、立教女学院のコンサートで滝乃川学園所蔵の「天使のピアノ」を弾くことになっている。父違いの兄がお世話になっている知的障害児施設で発見されたアップライト・ピアノで、日本で2番目に古いとか。蓋のところに美しい天使の浮き彫りがあるので、この名がつけられた。 滝乃川学園の創設者の夫人は石井筆子さんといって、「ベルツの日記」にも出てくる鹿鳴館の名花だったが、2人のお嬢さんが心身に障害を負って生まれたため、障害児教育に目覚めたという。ピアノは筆子さんがお輿入れのときに持ってきたもので、大正琴のようなすずやかな音がする。バッハの『平均律』第1番のプレリュードや、ベートーヴェンの『エリーゼのために』などアルペジオ系が似合うピアノだ。 合間を縫って、連載原稿も執筆しなければならない。『ムジカノーヴァ』の「ピアニストは指先で考える」は、ピアノ演奏と教育にまつわる8枚のエッセイで、いずれまとめてエッセイ集にしましょうと言われている。池坊の機関紙『華道』の連載は、花をテーマにしたメルヘンと音楽をめぐるショート・ショート。これもいずれまとめて、できたらCDもつけて出したいともくろんでいる。締め切りは、どちらも毎月20日。 新日本フィルハーモニーのプログラム・エッセイ「作曲家をめぐる愛のかたち」は、定期演奏会の期日によって少しずつ締め切りが移動する。朝日の書評は、だいたい3週間に一度の割合。読んだ本が面白かったときはすぐに書いてしまうから、これも不定期になる。 週刊誌や月刊誌からとびこみで書評の依頼がはいることもある。最近のものでは、『サンデー毎日』で芥川賞を受賞したばかりの金原ひとみさんの小説『蛇にピアス』の書評を書くことになっている。締め切りは2月4日。 その前に、大変な原稿の締め切りがあった。1月30日までに、ワーグナー協会の機関紙『ワーグナー・フォーラム』の特集で30枚も書かなければならない。特集のお題は「ワーグナーとエロス」。私は、イゾルデやブリュンヒルデ、クンドリーなど女性たちのエロスに迫ろうと思っている。いや、今ごろ思っていたら間に合わないので、実はもうずいぶん書きすすんでいる。 勤め先の大阪音大の試験や修士演奏の立ち会いもある。1月27日は、学部3年特殊研究クラスのオーディションの審査。2月20日は、大学院修士演奏と口頭試問の立ち会い。皆さん、実力を発揮して下さるといいのだけれど。 3月21、23、29、31日は、サントリーホール主催で内田光子さんのリサイタルと歌曲の夕べを聴く。リサイタルはベートーヴェンの後期ソナタ中心。歌曲の方はシューベルトの『冬の旅』と『美しき水車小屋の娘』。勿論、内田さんが弾き語りするわけではなく、丁々発止でわたりあえるという若いテノール歌手との競演である。 この一連のコンサートのレポートを30枚ほど書き、月刊誌『すばる』に載せる予定だ。クラシックも、音楽雑誌だけに情報が集中していると、だんだん先細りになっていく。なるべく外に出したいというのが私の願いだ。幸い、『すばる』の編集長は舞台芸術に理解があり、快く取材をOKしてくれる。『音楽芸術』が廃刊になって以来、まとまったクラシックの評論を掲載できるメディアは貴重なのだ。 単行本の執筆もある。手はじめは、白水社から依頼されている「ピアニスト論」。アルゲリッチやポリーニ、ミケランジェリ、リヒテル、ラローチャなど偉大なピアニストをとりあげる予定だ。 これまで、クラシックの演奏家が同業者、しかも雲の上のようなピアニストたちにあれこれ論評を加えるのはタブーとされてきた。野球やゴルフなら、引退した選手が解説者になるのはごく当たり前のことだが、演奏家に引退はないのでなかなか難しい。しかし、テクニックの秘密やステージでの気持ちなど、同業者にしかわからないことも多いのだ。 原稿の締め切りは5月連休明け。入稿しても、原稿段階での編集者とのやりとりや初校・再校のゲラの校正で、夏休みいっぱいかかってしまいそうだ。 それが終わったら、みすず書房から依頼されている「作曲家=作家コレスポンダンス論」にかかる。これまで書いた「ムージルとモーツァルト」、「ワーグナーとフランス世紀末」、「ワーグナーとエロス」、「ラヴェルとレーモン・ルーセル」、「ドビュッシーと両性具有」など各40枚の原稿に、「ショパンとハイネ」、「ホフマンとシューマン」などを加えて全体を350枚程度にまとめる。これが一番出したかった本だから、何とか実現しそうで嬉しい。 東京書籍から依頼されている19世紀末サロン文化の本もある。こちらはパリの図書 館で調査・研究する必要があるので、なかなか手がつけられないでいる。 今年は大きなコンサートは予定されていないが、来年に向けて、CDの仕込みもしておかなければならない。『花の物語、花の音楽』という企画では、花にまつわるピアノ曲を集める。『水の音楽』のときも選曲に苦労したが、花の方がもっと大変そうだ。セヴラックの『夾竹桃の花のもとで』やクープラの『けし』、ケットラー『花のワルツ』。シューマン『花の曲』。クララ・シューマンがピアノ曲に編曲した『ミルテの花』のCDが出ているそうなので、聴いてみなくちゃ。 2枚目のCD『雅びなる宴:クープラン・ドビュッシー作品集』が好評なので、ラモーのクラヴサン曲もレコーディングしたいと思っている。「一つ目巨人」「エジプト女たち」「鳥のさえずり」「ガボットと変奏曲」「タンブーラン」「めんどり」「王太子妃」、等々。 『ドビュッシー・リサイタル』の残りもある。『版画』『ピアノのために』『12の練習曲』・・・。 ふぅ。今年も、相変わらずあっちゃこっちゃの私の活動をお見守り下さい! |
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