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2002年6月13日/ 生・赤川次郎を見た!
朝日の書評委員会で、生・川上弘美さんや生・高橋源一郎さんとご一緒して、そのたびに感激している「元・文学少女」の私だが、今度は、本物の赤川次郎さんにお会いしてしまった。
きっかけは、今年の春。月刊「ロードショー」という雑誌に連載していた赤川さんの「試写室25時」という連作ミステリーが集英社文庫におさめられることになり、あとがき解説のお話をいただいた。赤川さんといえば、著作400冊を超えるスーパー作家だから、解説者の人選も大変だ。私の旧著「ショパンに飽きたら、ミステリー」では、「昼と夜の殺意」と「インペリアル」をネタに使わせていただいていたので、それがお目に止まったらしい。
解説は無事書き上がり、「試写室25時」も版元から届けられた。連休中、兵庫県の田舎に帰った私は、汽車に乗っている間に読む本を探そうとしてキオスクに立ち寄り、自分が解説を書いた本が棚に並んでいるのを見て──赤川さんの本なんだから当たり前なのだが──とっても不思議な感じがした。
その後、朝日朝刊文化面のピリスの評を読んで下さった赤川さんが、集英社文庫の担当の笠井陽子さんを通じて、一度お食事でも・・・と誘って下さったのだ。場所は表参道のかんごりしたフランス料理のレストラン。
表参道といえば、お師匠さんの安川加寿子先生のお宅があるところで、駅を下りたときは、いつも通り(先生が亡くなって5年もたっているのに)心臓がドキドキした。
レストランにあらわれた赤川さんは、若々しいステキなおじさま(私も、立派なオバサンだが、気分は女子高生)で、お酒を一滴もお飲みになれないところが、何となく、かわいい。好き嫌いも多くて、とくに貝類、イカ、タコの類がダメだそうです。飲んべえの私と笠井さんは夏向きのシャンパン、赤川さんはブラッド・オレンジのジュースで乾杯した。
実は、「試写室25時」のあとがきで、赤川さんの杉原爽香シリーズが大好き、と書いたら、早速光文社文庫編集部から連絡があり、シリーズ第15作のあと書き解説を依頼された、という。この作品は、現在ピアノ雑誌の「ムジカノーヴァ」に連載中で、秋に文庫本となって出版される。赤川さんの爽香シリーズは毎回どこかのメディアに連載し、その後すぐに文庫化されるだが、これまでのシリーズの発表先は実に多岐にわたっていて、しかも、かなりマイナーなメディアが多い。
「ムジカノーヴァ」など、その最たるものだ。 赤川さんによれば、普通は、連載をした雑誌の版元で文庫化するものだが、このシリーズの場合、 文庫は光文社から出ることが決まっているので、
連載だけさせてくれる雑誌を探すのが大変だという。でも、何でも深読みしてしまう私は、赤川さんはやさしい方だから、きっと、自分の連載によって少しでも雑誌の読者が増えることを願っていらっしゃるだ、と信じている。
赤川さんはクラシック音楽にくわしく、ミステリーにもよく出てくるのだが、お嬢さんがヴァイオリンを習っていらして、そのときに見聞きなさったことが参考になっているとのこと。私の娘も、同じ音楽教室で小学校五年までヴァイオリンをやっていたので、ひとしきりヴァイオリン談義で話が盛り上がった。
吉野直子さんやフルートの佐久間由美子さん、ピアノの中道郁代さん、ヴァイオリンの矢部達也君など、バリバリのトップ・アーティストとも親しく、よくお食事をなさるそうだが、彼らに取材なさるんですか?とお聞きしたら、そうではなく、こういうシチュエーションでこういう人物が出てきたら、きっとこうなるだろう、というふうに作家
的想像力を働かせて書かれるのだという。その根底には、人間はどんなに特殊な状況にあっても、そう変わるもんじゃない、という考え方があるようで、これには多いに共感した。
年間20冊、多いときは24冊ぐらい書いていらっしゃるのに、目も悪くなく、腰も痛くないという赤川さん。「もしかして、ロボットなんじゃないですか?」という問いに、「この辺、ちょっと取り替えられるといいんですけどね」と、少しでっぱってきたお腹をさすったので、大笑い。
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