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【連載】響きあう芸術パリのサロンの物語7「サン=マルソー夫人」(岩波図書 2021年8月号)

 一八七五年から一九二七年、つまり半世紀以上にわたって催されていたマルグリット・ド・サン=マルソー夫人の「金曜日」は、一九世紀末からベルエポックにかけてさまざまな出会いの場になった。  「モーリス・ラヴェルに会ったのは、…

【連載】響きあう芸術パリのサロンの物語6「ドビュッシーとサロン」(岩波図書 2021年7月号)

 クロード・ドビュッシー(一八六二ー一九一八)の父親がパリ・コミューンで逮捕されたことは前に書いた。作曲家が完全な沈黙を守ったため、生前には誰もそのことを知らなかった。ヴェルレーヌ−ランポー事件の目撃者だったことも。  …

【連載】響きあう芸術パリのサロンの物語5「ガブリエル・フォーレとサロン」(岩波図書 2021年6月号)

 ガブリエル・フォーレ (一八四五−一九二四)の、とりわけ前半生はサロンの音楽家として知られた。ポーリーヌ・ヴィアルド夫人、クレール家、サン・マルソー夫人、マドレーヌ・ルメール、グレフユール伯爵夫人、ポリニャック大公妃、…

【連載】響きあう芸術パリのサロンの物語4「ポーリーヌ・ヴィアルド」(岩波図書 2021年5月号)

 『アルチスト』誌に載ったニナ・ド・ヴィヤール夫人のパリ・デビュー演奏会の批評には、彼女がアンリ・エルツやアントワーヌ・マルモンテル(ドビュッシーのパリ音楽院時代の先生)とともに、オペラ歌手ボーリーヌ・ヴイアルドにも習っ…

【連載】響きあう芸術パリのサロンの物語3「ニコレ街一四番地」(岩波図書 2021年4月号)

 パリの地下鉄四号線をシャトー・ルージュ駅で降り、キュステユーヌ通りをのぼり、交差するラメ通りを少し戻って右折したあたりに、ニコレ街という小さな通りがある。治安の悪い一八区にしては瀟洒な町並みだ。  アパルトマンの壁には…

【連載】響きあう芸術パリのサロンの物語2「団扇と夫人」(岩波図書 2021年3月号)

 オルセー美術館に所蔵されているマネの『団扇と夫人』は印象的な絵だ。黒髪の女性がひじをつき、長椅子の上でトルコのサルタンのようなポーズで寝そべっている。  決して美人ではないが、印象に残る風貌だ。二重の目は大きく、目尻が…

【連載】響きあう芸術パリのサロンの物語1「サロンという登竜門」(岩波図書 2021年2月号)

若く、無名でお金のない芸術家が世に出る手段は、そうは多くない。二一世紀のこんにちでは、それがショパン・コンクールだったりチャイコフスキー・コンクールだったりするわけだが、一九世紀は貴族やブルジョワのサロンがその役割を果た…

【連載】「このごろ通信 「耳のための劇」に浸る 」(毎日新聞 2019年9月9日付夕刊)

作曲家・ピアニストの高橋悠治さんは、最初に詩人になりたいと思ったというだけあって、言葉を伴う作品に名作が多い。「カ・ミ・サ・マ」で始まる「パレスチナの子どもの神さまへのてがみ」、矢川澄子さんの詩による「だるまさん千字文」…

【連載】「このごろ通信 望月遊馬の詩の調べ 」(毎日新聞 2019年9月2日付夕刊)

 詩人の望月遊馬(もちづきゆま)をご存知だろうか。2006年に18歳で現代詩手帖賞を受賞した若手だ。  私も少し前までは知らなかったのだが、つい先ごろ上梓(じょうし)した第4詩集「もうあの森へはいかない」を送っていただい…

【連載】「このごろ通信 十人十色の開拓者たち 」(毎日新聞 2019年8月26日付夕刊)

 今年は梅雨が長かったので、夏が始まったばかりだと思っていたらもう秋が目の前。急いで仕事をしてしまわなければ。  暑いのが好きで、窓の外で太陽がかっと燃えていると、やる気が出る。例年は秋に本やCDが出るので、レコード会社…

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