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批評家でも研究者でもなく、実際にピアノを引き、教えている人物が、名演奏家を論じ る。ここには当然危険がある。批評はつねに本人にかえってくるから。だが、同時に面白さやメリットもある。実践を積んでいるからこそ見えてくる、聞こえてくるものがあるし、書いている本人や文章を読んでいるひとの演奏法にフィードバックできることもあるだろうからだ。本書で扱われているのはリヒテル、ミケランジェリ、アルゲリッチ、フランソワ、バルビゼ、ハイドシェック。各人の演奏をただ勝手に論じるのではなく、過去の演奏・録音を召還し、発言を重ね、あるいは他者の言葉を照射することで、各人の演奏史を浮かびあがらせているのも重要。そして、他の章で扱っているピアニストとのコントラストの微妙さも描かれる。また、多くのひとが抱く疑問雄ミケランジェリのめざすものは何だったのか、アルゲリッチがなぜソロを弾かないのか雄に、自らの回答を出してくれているのも読みごたえ充分である。 |
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