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青柳いづみこの「水のまなざし」(文学界)は、声が出せなくなったピアニストの話。十歳ほどの年齢差のある両親(父親が年下)から生まれた真琴が、静養のために祖母のいる山陰の但馬に出かける。そこに父と友人の大田黒が訪れる。ピアニストにするために幼い頃から父親主導でピアノを練習した真琴。しかし、声が出なくなるのに伴い、ピアニストとしての「出世」も頭打ちとなる。娘と父親とのむつみあい、触れあいは、倒錯的でありながら、甘美な哀しみに彩られている。水死したショウという青年との性的ないたずらめいた関わりも甘やかに回想されている。小説が、そうした感情の発露を受け止める器となっている。それはたしかに「小説」の一つの重要な効能なのである。 |
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