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「音楽は色彩と律動づけられた時間からできている」というドビュッシーの言葉に導かれ、青柳いづみこがリリースしたのは、最晩年の傑作『12の練習曲』を含むドビュッシーのアルバム。1977年に初めて出版された『忘れられた映像』とおなじみの名曲『版画』も合わせて収録されているが、両者は音楽的発想やモチーフの借用などで深いつながりのある曲同士。 青柳のピアニズムは、ドビュッシー作品の的確な理解のもと、変幻自在な色彩の妙味や時間の流れを巧みに表現している。そのタッチはむしろクリアで強靭。時にきらめきを感じさせる。 『12の練習曲』は、ショパンのエチュードと同様、種々の技法のオンパレードである。どれもフランス近代のピアノ曲を弾くには不可欠な技巧だが、はっとさせられるようなモダンな響きにも事欠かない。またドビュッシーが愛したクラヴサン的な技巧も随所にちりばめられている。「8本指のための」は、クラヴサンに見られる手の交替の技法も含むが、軽やかで典雅な演奏。すばやい連打による「反復音のための」や「装飾音のための」でも、18世紀ロココを思わせるクラヴサン的な響きが広がる。 青柳自身による曲目解説も簡潔にして的確。学ぶところが多い。(伊藤制子) |
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