「ショパン・フェスティバル in 表参道レポート」(ショパン 2012年7月号)

『ショパン―そのサウンドの秘密』をテーマに ショパン・フェスティバルin表参道、今年も開催

2010年のショパン生誕200年を記念してスタートした『ショパン・フェスティバルin表参道』 (主催:日本ショパン協会)。第一線で活躍する多彩なピアニストの演奏で、さまざまな角度からショパンの音楽を探求し、 その魅力を堪能する企画が大きな反響を呼び、爽やかな新緑の季節の恒例イベントとして、 3年連続して開催されている。5月28日~6月2日まで、 カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」で開催された今回のテーマは、 『ショパン―そのサウンドの秘密』。今年生誕150年を迎えたドビュッシーとショパンとの関わりに焦点を当て、 ショパンのサウンドの秘密に迫る興味深いプログラムが繰り広げられた。

フェスティバルは、連日昼夜2部制でおこなわれ、12時からのランチタイムコンサートには、 山田剛史さん、小林有沙さん、日高志野さん、岩崎洵奈さん、大田佳弘さん、 宮崎翔太さんという注目の若手ピアニストが登場。それぞれ趣向をこらしたプログラムで、 フレッシュな演奏を披露した。19時からのイブニングコンサートには、楠原祥子さん、岡本愛子さん、 津田理子さん、徳丸聰子さん、森知英さん、堀江真理子さん、谿博子さん、海老彰子さんという、 日本を代表する錚々たるピアニストが出演。小林仁会長、青柳いづみこ理事のトークやレクチャーを交えて、 聴き応えのある演奏を楽しませてくれた。

6月1日のイブニングコンサートでは、ドビユッシー研究の第一人者で、 ピアニスト・文筆家として活躍する青柳いづみこさんが、『20世紀に花開いたショパンの遺産』と題して、 ショパンの斬新な語法、彼が目指していたものがドビユッシーによって発見され、 20世紀の音楽の基礎となったことを解き明かしながら、ショパンのピアニズムとサウンドの真の革新性をレクチャー。 パリに出てからのショパンの足跡を辿りながら、繊細なタッチの柔軟な奏法 、響きを絶妙にコントロールするペダリングから生み出されたサウンドが、 ドビュッシーに引き継がれ、彼の作曲技法の集大成であり、 最高傑作のひとつに数えられる《前奏曲集第1集》の中に息づいていることを、 フランス音楽やペダリングに定評のある堀江真理子さんの色彩感あふれる演奏とともに検証した。

さらに、最終日の6月2日は、青柳いづみこさんがプレゼンターを務めて、 『ショパンが20世紀にもたらしたもの』と題し、 谿博子さんによるドビュッシーの前奏曲集第2集と海老彰子さんによるショパンの前奏曲の演奏の対比で、 20世紀音楽の扉を開いたドビュッシーに影響を与えたショパンのサウンドの秘密を考察し、 充実した6日間のフェスティバルを締めくくった。

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