【CD評】「ドビュッシーの神秘」レコード芸術 2012年10月号 評・那須田 務

推薦 今年は生誕150年ということで、例年になくドビュッシーが多い。今月も4点、いずれも《前奏曲集》を含むというのは偶然とはいえ、興味深い符合だ。それはともかくとして、青柳いづみこ。これまでにもドビュッシーの音楽に秘められたロマンティシズムや「時間の流れに焦点を当てた」アルバムをリリースするなど、ドビュッシー研究をライフワークとしている人だけに、今回も通り一遍のアルバムではない。

《前奏曲集》第2巻を中心とした選曲だが、冒頭に当初、ドビュッシーが第2巻に人れたいと望みつつ果たせなかった《象たちのトーマイ》を収録しているのだ。夜明けのジャングルで象たちの踊りに遭遇した、象使いトーマイの物語に着想を得た未完の小品で、オーリッジが完成させた楽譜を弾いている。ここでの青柳は、ドビュッシーの人や収録曲に秘められた神秘性に焦点を当てている。演奏の方も音楽の表面を撫でたようなものではなく、音符の意味や背景まで浮き彫りにしようという思いが伝わってくるものだ。十分に研磨されたタッチながら音響的な感覚だけを満足させるだけでなく、確信に満ちていると同時に新鮮な解釈で絶えず聴き手の想像力を刺激する。そのアプローチは決して誇張の表現に頼らない。

因みに《象たちのトーマイ》は思ったより前衛的な響きがする。《ハイドンを讃えて》のユーモアやさらりとしたロマンティシズムが快い《レントよりおそく》など前奏曲以外にも聴きどころが多い。

ドビュッシーの神秘
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