【CD評】「ドビュッシーの神秘」レコード芸術 2012年10月号 評・濱田滋郎

推薦 青柳いづみこは、いまさらここに言うまでもなく、ドビュッシーの人と作品に関する造詣と共感の深さを、ピアノ演奏-当欄においても幾枚ものCDを推賞した-および文筆の両面を通じて表わしてきた人である。「ドビュッシー・イヤー」に彼女によるトリビュートが現われぬはずはなかったが、今月それがここにある。《前奏曲集》第2巻を中心に、任意の小品9曲ほどを配して編まれたアルバムで、タイトルは『ドビュッシーの神秘』とうたっている。

冒頭に聴かれるめずらしい1曲《象たちのトーマイ》は、資料にもとついてドビュッシー研究家のロバート・オーリッジが想定・復元(?)した ”幻の” ドビュッシー作品。《象たちのトーマイ》とはキプリング著の物語の題で、トーマイとは象使いの少年の名である。ドビュッシーは当初、《前奏曲集》第2巻第11曲として、この物語による楽曲を考えたが、《前奏曲》に許された規模の中でそれを試みるのは無理だと考え直し、現行の〈交替する3度〉をそこに当てた。

いっぽう断念した《トーマイ》のための音素材は《おもちや箱》の中に転用されたに違いないと考えたオーリッジは、そこからそれらしいものを探り出し、この《前奏曲》を仕上げた、というわけである。CD上で、実際にこの曲が聴かれる機会は、おそらくこれが初めて。

さて、CDの芯をなす《前奏曲集》第2巻は、いずれの曲も、このピアニストらしいデリカシーとポエジーに満ちた演奏ぶり。小品の類もまた秀れている。

ドビュッシーの神秘
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