【CD評】「監修アルバム 眠れない夜に聴く、ミステリー・クラシック」BILLBOARD JAPAN 評・高島直子

五線譜の上で遊ぶ可愛い猫のイラストと、「MYSTERY CLASSIC」というタイトル。どういう意味かとライナーノーツを開いてみると、なるほど、ミステリー小説やミステリー映画にまつわるクラシックを集めたコンピレーションアルバムだ。監修は、ピアニストとライター業の両方をこなす青柳いづみこ。全16曲の中には、彼女の演奏も3曲収められている。
 
一曲目は、J.S.バッ ハ作曲の「ゴルトベルク変奏曲 アリア」×『ハンニバル』。レクター博士が愛聴していたこの曲は『羊たちの沈黙』でも『ハンニバル』でも使用されており、 本アルバムでは、『ハンニバル』にあわせて、チェンバロ版が収められている。全ての無駄がそぎ落とされた崇高で洗練されたメロディは、何かを暗示している ようにも、内省を促しているようにも聴こえ、多くの映画でも愛されているが、レクター博士の顔を思いだしながら聴くと、背筋がゾクッとしてくる。

他には映画化もされた「さよならドビュッシ-」や、奥泉光「シューマンの指」などのピアニストをテーマにしたミステリーから、コナン・ドイルやアガサ・ク リスティーなどのミステリーの王道まで、幅広い作品と関連したクラシックの名曲などなど。「この本に、こんな曲出てたっけ?」とか、「この本、読んだこと ないけど、面白そう。」と考えていると、どんどん眠れなくなってくるアルバム。

監修アルバム「眠れない夜に聴く。~ミステリー・クラシック~」
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